進化している超音速機開発のために…日本航空が米ベンチャー企業に10億円出資
日本航空は超音速旅客機を開発しているアメリカのベンチャー企業に出資し、将来路線への導入を目指すことになった。
パートナーシップ締結、10億円出資
発表によると日本航空は、アメリカのデンバーを拠点とするベンチャー企業「Boom Technology」と、ともに飛行時間短縮に挑戦するべく、パートナーシップ関係を締結したという。
「Boom Technology」は超音速旅客機の開発を進めており、日本航空は彼らの挑戦を定期航空運送事業者の観点からサポートするため、同企業に対し約10億円を出資することで合意したそうだ。
2020年代半ば以降の導入を目指す
通常の航空機が時速800kmから時速900kmなのに対し、このベンチャー企業が開発している超音速機は約2倍から3倍の速さ、航続距離も8334kmになるという。
日本航空は2020年代半ば以降の導入を目指しているが、もし超音速機が導入されれば、現在約11時間はかかる東京からサンフランシスコまでの移動が、5時間半に短縮されるとか。
今回の出資によって日本航空は20機を優先的に発注する権利を得たことになり、今後は超音速機特有の騒音をどう減らすかや、安全性に問題がないかなどを検討し、導入の時期や路線を決めていくとしている。
「コンコルド」は高い運航コストで退役
しかしなぜ今、超音速機なのだろうか。エールフランス航空の「コンコルド」は2003年に全機が運行をやめているが、その原因は騒音問題などに加え、燃費も悪く、高い運航コストが負担になっていたからだという。
それ以降、超音速機は航空路線からは姿を消しているが、Boom Technologyでは新たな技術で超音速旅客機を開発し続けており、その進展は注目を集めてきた。
実際、同企業では旅客機の3分の1の大きさの、「XB-1」という超音速機の開発をすでに進めているという。
最先端の技術で75%も運賃を下げられる
Boom Technologyのサイトでは、次のように述べている。
「超音速の旅客機は70年間存在し続けてきました。しかし今までは、定期運航に対しては効率的ではありませんでした」
「Boomエアライナーでは、コンコルドよりも75%も運賃を下げることが可能です。これは現在のビジネスクラスと同じ運賃になります」
「この効率面での進歩は、画期的な空気力学的なデザインと、最先端のエンジン、そして新しい複合素材によって可能になったのです」
しかもサイトによれば、コンコルドの速さがマッハ2.0だったのに対し、Boomの超音速機はマッハ2.2にもなるという。
日本でも多くの人が超音速機で旅行できる日も、そう遠くはないのかもしれない。(了)
出典元:日本航空:JALとBOOM TECHNOLOGY.INC,資本業務提携で合意(12/5)
出典元:Boom:THE FUTURE IS SUPERSONIC