米当局が、親パレスチナのデモを組織したコロンビア大学の学生を拘束

アメリカで、親パレスチナの運動を組織したコロンビア大学の学生(大学院生との情報も)が逮捕され、議員らが抗議の声を上げている。
移民関税執行局の捜査官が逮捕
コロンビア大学に留学していた男子学生、マフムード・カリル(Mahmoud Khalil)さんは3月8日、学生寮に入ってきた国土安全保障省・移民関税執行局の私服捜査官2人によって、拘束された。
捜査官らは、逮捕令状や告訴状を彼に示さず拘束し、その後、カリルさんはルイジアナ州中部にある移民税関捜査局(ICE)の施設に移送されたという。
カリルさんは、コロンビア大学のキャンパスにおいて、親パレスチナのデモで学生リーダーとして活動しており、トランプ政権はこれらのデモに参加した外国人留学生らを弾圧し、強制送還しようとしている。
Protesters in the US have marched to demand the release of Palestinian student activist Mahmoud Khalil after immigration forces detained him on Saturday over his role in Palestine solidarity demonstrations at Columbia University ⤵️ pic.twitter.com/xq53xGbP8k
— Al Jazeera English (@AJEnglish) March 11, 2025
合法的な永住者
しかしカリルさんは、これまでいかなる犯罪容疑で起訴も有罪判決も受けていない。また彼は合法的な永住者で、学生ビザを取得しており、グリーンカードも持ち、妊娠8カ月のアメリカ市民の女性と結婚しているという。
にもかかわらず、移民税関捜査局の捜査官は拘束時、彼に対し国務省が学生ビザを取り消したと通告。その後、グリーンカード(永住権)も無効にし、妊娠中の妻を逮捕するとも脅したそうだ。
これについてトランプ政権の報道官は、「移民国籍法に基づき、国務長官はアメリカの外交政策や国家安全保障上の利益に奉仕する、またはこれに敵対する個人のグリーンカードやビザを取り消す権限がある」と擁護。
さらに「マフムード・カリル氏は、アメリカで最も優秀な大学で学ぶために、この国に来るという特権を与えられた人物だったが、その機会、特権を利用して、ハマスのテロリスト側についた」と述べた。
連邦判事が国外追放を阻止
一方、カリルさんの弁護士は、逮捕に異議を申し立て、連邦判事はその請願書を検討しながら、カリルさんの国外追放を阻止したという。
またアメリカの連邦議員14人(全て民主党)が、カリルさんの釈放を求める書簡に署名。彼の逮捕が、「政治的抗議を犯罪化する試み」であり「言論の自由への直接的な攻撃」であると訴えた。
さらに書簡には、「カリル氏の拘留は、この国のパレスチナ連帯運動を沈黙させようとする反パレスチナ人種差別行為だ」と記され、「カリル氏の憲法上の権利は侵害された。弁護士との実質的な面会や家族との面会は拒否された。これは絶対に受け入れられない、そして違法だ」と書かれていたという。
しかしトランプ政権は、親パレスチナの学生への弾圧を強めており、国土安全保障省はコロンビア大学に対し、親パレスチナの運動に参加した他の学生の身元確認を要請しているそうだ。
コロンビア大学側は、国土安全保障省の要請を拒否しており、学生の情報提供に協力していない。
カリル氏の弁護士の一人であるバヘル・アズミー氏は、「彼の発言は憲法で完全に保護されており、アメリカ政府が発言を承認しないという理由で誰かを処罰したり、国外追放しようとしたりできることは、誰にとっても恐ろしいことだ」と述べている。(了)
出典元:ABC News:14 House members demand release of Palestinian activist Mahmoud Khalil after arrest at Columbia(3/12)