スウェーデンで壊されそうになっていた貴重な石碑、サイクリストのお陰で破壊を免れる
スウェーデンでサイクリングロードの建設工事のため危うく壊されそうになっていた石碑が、通りがかりのサイクリストによって破壊を免れるという事件が発生し、話題となっている。
建設チームが巨大な“石”を発見するも…
石碑が見つかったのは、今月9日のこと。発見された場所は、スウェーデンで3番目に大きい湖として知られ、首都ストックホルムにもかかるメーラレン湖の近郊だという。
石碑の発見場所の近郊では、サイクリングロードを建設するため、工事が行われていた。
その工事の際、掘削機が何か固いものを直撃。
巨大な“石”が埋まっていたことが明らかとなったものの、建設チームはその“石”が価値ある石碑であることには気づかなかったという。
さらに建設チームは、巨大な“石”がサイクリングロードの建設を妨げるものと判断。その排除のため、“石”を破壊することを決定していたという。
通りがかりのサイクリストが石碑であることを指摘
ところがそれから一週間ほどを経た15日、事態は急変する。
この日たまたま現場を通りかかったサイクリスト、Erik Björkliさんが“石”が石碑であることに気付いたのだ。
建設チームにBjörkliさんがその旨を伝えると、それからわずか一時間ほどして、石碑が位置するセーデルマンランド県議会で遺跡等の保護に関わる部門のUrban Mattsson氏が現場に到着。
その結果、石は“ルーン石碑”と呼ばる非常に価値ある石碑であったことが判明した。
ルーン石碑とは紀元後4世紀から12世紀頃のいわゆるヴァイキング時代に製作された石碑で、ルーン文字が描かれていることを特徴とし、主として亡くなった人の追悼のために製作されたものという。
Rune Stone, 1.4m tall, Uppland, Sweden AD 1050–1100. Loved by @JudithJesch. What's your favourite? #HeritageMW pic.twitter.com/8yQ4NVFPL0
— Ashmolean Museum (@AshmoleanMuseum) March 31, 2016
1668年、既に記録が残されていた石碑
この石碑の発見には、スウェーデン国家遺産局で上級研究員を務めるMagnus Källström氏も「非常に興奮する。今年一番の発見だ!」とコメント。
さらにKällström氏いわく、この石碑の存在は1668年、Johan Peringskioldという名の研究家によって記録が残されていながら、以来行方がわからなくなっていたものであったという。
Källström氏は今回発見された石碑は、1668年に記録が残された当時とほぼ同じ場所に位置したままである、と指摘している。
またMattsson氏によると、現在石碑が発見された場所での考古学的調査を行うか、石碑のみを移動させるか検討が行われているとのことだ。
ちなみに石碑には、“INGULVとVISÄTEは、BUGGEとSIGSTENのためこの石碑を建てる。神が彼らの魂を救う”との文言と共に、十字架と絡み合う紐のようなデザインが刻まれているという。
当の発見者は少々複雑…
一方、石碑の発見者Björkliさんの心境は少々複雑な模様だ。
Björkliさんは「これはやはり我々の文化遺産の一部だ」としながらも、この石碑の発見がサイクリングロードの建設を妨げることにならないか懸念しているとか。
サイクリストによって破壊の手を免れることとなった石碑。これが保護されると共に、サイクリングロードの建設計画も順調に進んでくれればよいのだが、さてどうなることだろうか。(了)
出典:The Local Sweden:Cyclist saves ancient rune stone from being crushed(8/16)