日本企業の女性メガネ禁止、海外メディアやアーティストも反応
日本の一部の企業が、職場で女性のメガネを禁止していることが話題となり、海外メディアもそれに関する記事を公開している。
日本でのメガネ禁止の議論、意見
日本でのネットの書き込みによれば、メガネの着用が仕事で認められなかったというケースは、企業の受付やエステティシャン、飲食店の接客、保育士など、さまざまな職種に及んでいるという。
理由としては「客にメガネが落ちたら危ない(エステティシャン)」「冷たい印象を与える(受付)」「暗い印象になる(リラクゼーション)」などといった内容もあるようだ。
またNHKでは、和食の飲食店でアルバイトを始めようとしていた女性の話も紹介。「料理を提供する際にメガネが曇ること」「着物にメガネがふさわしくないこと」との理由から、「メガネは禁止」と伝えられたと報じている。
ネット上では、「女性がメガネ禁止の職場があるのは驚き」「職場でのメガネ禁止は差別」「接客応対の良し悪しは、作られた見た目では無いと思います」「なんか色々びっくり、コンタクトを付けられない人もいるだろうに」といった批判的なコメントが寄せられた。
女性にメガネの着用を禁止する企業について様々な声が上がっています#スッキリ #メガネ禁止https://t.co/Br0Komw0w6
— Twitter モーメント (@MomentsJapan) November 6, 2019
海外メディアはどのように伝えた?
このような議論の盛り上がりを受け、イギリス公共放送のBBCでは、まず「いくつかの企業が、女性従業員にメガネを外すよう命じた後に、女性のメガネ着用は感情的なトピックになっている」と紹介。
その上で「地元のニュースメディアによれば、メガネ着用を禁止する理由にはさまざまあり、『小売りチェーンでは女性店員がメガネを着用すると、冷たい印象を与えるから』と述べている」と伝えた。
さらにBusiness Insiderでは「デパートの受付」や「ショールームのスタッフ」「ビューティー・クリニック」などさまざまな業界で、女性のメガネ着用禁止が行われていると報道。
特に航空業界では安全性のために男女ともにメガネ着用を禁止し、美容業界で働く女性には、適切にメイクをした表情を見せることができないために禁止していると伝えた。
その上で「現場では明らかに、メガネは医療器具として扱われておらず、このような問題は決して新しいものではない、と指摘している。
日本の古い考え方の反映か
BBCでは、「この『禁止』が会社の規則によるものなのか、職場で受け入れられてきた慣習を反映させたものなのか、定かではない」としている。
しかし先週からハッシュタグ「#メガネ禁止」が日本のSNSでも話題となり、議論が続いていると伝えた。
その上で京都外国語大学・社会学の根本宮美子教授の言葉を紹介。根本教授は、この着用禁止が日本の古い伝統的な考え方を反映したものだとして上で、次のように述べている。
「女性がメガネを着用してはいけないという理由は、本当に意味をなしません。全ては性別次第であり、非常に差別的です。それは、女性がどのように仕事をするか、という問題についてではないのです。企業は(女性の働きぶりではなく)、女性のフェミニン(女性らしさ)な容姿に価値を見いだしており、メガネを着用する人間はその反対とされている」
ハイヒールの問題も紹介、大物歌手もツイート
無論、女性が職場で何を身につけるのかについての議論は、メガネだけではない。以前から女性が職場でハイヒール強制されることについても、議論が続いている。
女優の石川優実さんは葬儀場で働いていた時、ハイヒールを履くよう命じられた経験から、特定の種類に靴を履くよう圧力をかけることを禁止する運動を展開。Change.orgで、3万以上のオンライン署名を集め、今年6月、厚生労働省に対し禁止を求めたという。
その後、性暴力被害者を支援する「#MeToo」運動になぞらえた、「#KuToo」というハッシュタグが広まった。
BBCではこのような背景も伝えており、「#KuToo」をつけてツイートすることで、支援の流れを引き寄せていると報じた。
さらにこのような一連の報道から、『タイム・アフター・タイム』などの曲を手がけた歌手のシンディ・ローパーさんもツイート。「メガネはより効率的に仕事をするのを助けてくれるわ。職場での私の靴もとても心地いい」とコメントした。
Glasses help me do my work more efficiently. My shoes are so comfortable in my work space too https://t.co/a06fad0NNd pic.twitter.com/Chgcr11RYD
— Cyndi Lauper (@cyndilauper) November 8, 2019
そして彼女のツイートにも、他のユーザーから、
「これ(女性メガネ禁止)は正気じゃない、つまり人々は仕事をして評価されるべきじゃない?」
「これはバカバカしさを超えている。私は病気のために、コンタクトをやめなければならなかったわ」
「日本社会ではジェンダーの不平等が、一般的に広がっている。だからこれは変える必要がある!」
といったコメントが寄せられている。(了)
※NHKの記事では女性アナウンサーのことについても言及しており、非常に興味深いので、ぜひご覧いただきたい。
出典元:BBC:Japan ‘glasses ban’ for women at work sparks backlash(11/8)
出典元:NHK:女性はメガネ禁止?(11/8)
出展元:Business Insider:Women in Japan have been told not to wear glasses at work to avoid looking ‘cold’ and ‘unfeminine’(11/9)