中国がリリースした新型ウイルス感染者との接触を知らせるアプリとは、どういうもの?
中国政府が、新型コロナウイルス(CoViD-19)の感染拡大を防ぐために、2月8日、スマートフォン用アプリをリリースした。
中国・国家衛生健康委員会の発表によれば、このアプリで、自分がこれまでに感染者と接触したかどうかが分かるとのこと。
近接な接触を知らせる
「密接接触者測量儀(close contact detecter)」と名付けられたそのアプリは、中国国務院弁公庁、国家衛生健康委員会、そして国営企業である中国電子技科集団の3者が共同開発したもの。
政府が公開しているQRコードを、中国でポピュラーなモバイルアプリAlipay(アリペイ)、WeChat(微信)、テンセントQQで読み取ると使えるようになる。
使用者は最初に自分の電話番号を登録し、次に氏名と、中国政府から発行されているID番号を入力しなければならない。入力後、使用者が過去にコロナウイルス感染患者と接触した可能性があると、「家から外に出ず病院に連絡するように」というメッセージが表示されるとのことだ。
感染者と同じ車両に乗った、同じ部屋にいた…
この件を詳しく報じた中国の国営メディア「新華社」によれば、接触した相手が、感染がはっきり確認された患者なのか、あるいは疑いのあるだけの患者なのかもアプリが教えてくれるとのこと。
また、「接触」といってもいろいろあるが、感染者が同じ職場で働いていたり、同じ学校の教室にいたり、同じ家に住んでいたり、同じ電車の車両や旅客機内にいたときには「接触」と判定されるそう。
さらに、例えば旅客機内で席の前後3列以内に感染者がいた場合は「近接な接触(close contact)」に、それより離れていれば「一般的接触(general contact)」となる。機内サービスをするアテンダントが感染者だった場合は「近接な接触」と判定される。電車や列車の場合、エアコンが稼働している閉め切った車両内に感染者がいれば、「近接な接触」となるそうだ。
なぜこれほど詳しく判定できるのか、その仕組みについては何も発表されていない。ただ、システム構築を担当した中国電子技科集団のニュースリリースには政府機関が収集・蓄積する「ビッグデーターを使っている」と書かれている。
そうなると、感染が確認された患者が過去にどこに居たかということも、アプリの使用者がどこに居たかも、「ビッグデーター」の中に入っていることになる。
欧米メディアによれば、プライバシー保護の観点からこのアプリを批判する声も上がっているそうだ。(了)
出典元:新華社 News:China introduces novel coronavirus close contact detection app(2/10)
出典元:abc News:China launches coronavirus tracking app as death toll surpasses 1,000(2/12)