米バイオ企業が今年秋に、新型コロナのワクチンを医療従事者に提供する見込み
世界中が新型コロナウイルスの脅威に晒されているが、そんな中で少し明るいニュースがある。早ければ今年の秋、医療従事者向けにワクチンの供給が開始される見込みだ。
3月から治験が始まったワクチンmRNA-1273
現在、いくつもの研究機関やバイオ関連企業が、新型コロナウイルスの治療薬やワクチンを開発中だ。米国のModerna社もその一つで、米国立衛生研究所(アレルギー・感染症研究所)と協力してワクチン開発を進めてきた。
同社が完成させたワクチン(認可前なので正確には「ワクチン候補」)mRNA-1273は、3月上旬から、人を対象とした臨床実験の第1段階に入っている。
通常、新開発のワクチンは数段階の臨床実験を経て安全性が確認され、政府当局の認可を受けて初めて一般に流通する。それには早くても1年〜1年半の時間がかかると言われているが、Moderna社は医療従事者向けに限り、それより早く、今年の秋にワクチンを提供できる見込みだと発表した。
パンデミック発生時にワクチンを緊急承認する制度
この件を報じているメディアによれば、パンデミック発生時に必要な医薬品やワクチンなどを緊急承認する「緊急使用許可(EUA)」という制度が米国にはあるそうだ。Moderna社は、明言はしていないが、その制度を利用して秋までに認可を取りつけるらしい。
ただ、そのワクチンを接種できるのは「医者や看護師をはじめとした医療従事者」に限られるだろう、とModerna社のCEO・Stephane Bancel氏は言う。
ワクチン接種で新型コロナウイルスに対する免疫ができてしまえば、医療従事者は感染を恐れずに治療に専念できる。一般向けに流通するのは通常の認可を受けた後、早くても1年後になる見通し。
同社は、認可に必要な臨床試験の第2段階の準備も同時並行で進めており、第1段階が終わり次第すぐに開始する予定。また、ワクチンを製造する製薬会社との話もついており、認可されればすぐに、月間数百万本の量産が可能であるとのこと。(了)
出典元:Bloomberg:Moderna’s Covid-19 Vaccine May Reach Some by as Soon as Fall(3/23)
出典元:Moderna:UNITED STATES SECURITIES AND EXCHANGE COMMISSION Item 7.01 Regulation FD Disclosure(3/23)