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停電が3月まで続く可能性、ウクライナに無傷の発電施設は存在せず

停電が3月まで続く可能性、ウクライナに無傷の発電施設は存在せず
Twitter/Lorenzo Tondo

ロシア軍のミサイル攻撃により、ウクライナでは最も厳しい冬を迎えることに備えているという。

 

「3月末まで停電と付き合うことに」

 

ウクライナのゼレンスキー大統領は以前、国内のエネルギーインフラの半分がロシアの攻撃によって被害を受け、冬が到来し気温が氷点下まで下がる中、数百万人が電気と水のない生活を余儀なくされていると述べていた。

 

首都キーウにある大手民間エネルギー供給会社「YASNO」の責任者、セルゲイ・コバレンコ氏は、冬の寒さが到来する前にインフラの修理を完了するため、作業員が急いでいるとし、次のようにフェイスブックに投稿した。

 

「私は皆に理解してもらいたい。ウクライナ人は少なくとも3月末まで停電と付き合うことになるだろう」

 

コバレンコ氏によれば、ロシアによる電力網への新たな攻撃がなかったとしても、現在の発電状況下では、電力不足が全国にまんべんなく発生する可能性があるという。しかし停電の時間は長くは続かないそうだ。

 

「破壊の規模はとてつもない」

 

ウクライナの国営電力網運営会社「Ukrenergo」の責任者であるヴォロディミル・クドリツキー氏も、ブリーフィングにおいて「ロシアの攻撃で無傷の火力発電所や水力発電所は、実質的に存在しない」と述べ、次のように語った。

 

「破壊の規模はとてつもない。ウクライナでは、発電量が不足しています。消費者が使うほどのエネルギーは作れない。ウクライナの人々は長い停電に直面する可能性があるが、当社は人々が冬を通して国内に留まるための状態を提供する手助けをしたい。ウクライナはロシアの侵攻前に燃料を蓄えており、損傷したインフラの修復に懸命に取り組んでいるが、海外からのスペア部品を確保することを望んでいる」

 

ウクライナのイリーナ・ベレシュチュク副首相は11月21日、南部のヘルソン州とミコライウ州では、戦争によるインフラの損傷が激しく、人々が冬を耐えることができないとし、住民に中部と西部の安全な地域に避難するよう求めていた。

 

しかしクドリツキー氏は、このような避難の必要性を否定。政府による呼びかけは「不適切」であると述べたという。

 

市民に森へ入らないよう呼びかけ

 

一方、日に日に寒さが増す中、市民の中には薪を手に入れるために、森の中に入って探す人もいるという。

 

ウクライナ当局は、ロシア軍が地雷や仕掛け爆弾、不発弾を残している可能性があるため、軍に相談せずに森へ行かないよう市民に警告している。

 

にもかかわらず、薪の値段が高騰しているため、危険を冒すしかない人も多いそうだ。

 

ただ一軒家では、薪が手に入れば燃やすことができるが、アパートに住む人は旧ソ連時代に作られた集中暖房システムに頼ることが多いという。そこでは火力発電所から、温水がアパートのラジエーターに送られているそうだ。

 

日本政府が緊急支援

 

このような状況の中、日本政府は総額257万ドル(約3億6000万円)分の発電機とソーラーランタンを、緊急無償資金協力としてウクライナに提供すると発表した。日本政府は声明で次のように述べている。

 

「ロシアの攻撃により多くのエネルギー・インフラ施設が破壊されたことにより、ウクライナ各地において大規模な停電が発生しています。ウクライナにおいて日々冬の寒さが厳しくなり、また日が短くなる中、本件支援は、停電により暖房設備や照明器具を使用できない人々に対する越冬支援として重要な意義を有するものです。我が国として、引き続き、G7を始めとする国際社会と連携しながら、国難に直面するウクライナの人々に寄り添った支援を実施していきます」

 

またEUのウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長も、ウクライナの復興のために、さらに25億ユーロ(約3600億円)の追加援助を行うと発表した。(了)

 

出典元:The Guardian:Ukraine’s power grid destroyed on a ‘colossal’ scale after Russian strikes, says energy chief – as it happened(11/22)

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