中国共産党がTikTokのデータを使い香港のデモ隊をスパイか、元幹部が主張
TikTokを所有する企業「ByteDance」の元幹部が、中国共産党によるデータの使用を主張している。
不当解雇の裁判で、書類を提出
その元幹部とは、以前「ByteDance」社で、エンジニアリング部門の責任者を務めていたYintao Yu氏だ。
Yu氏は2018年に「ByteDance」に勤務していたが、その後解雇され、今年の5月にサンフランシスコ高等裁判所に対し、不当解雇にあたるとして会社を訴えたという。
そしてこの訴えに関し先日、裁判所に書類を提出。その書類の中で、Yu氏は中国共産党が「ByteDance」社のデータを使い、香港のデモ隊をスパイしていたと主張した。
一方、「ByteDance」側は、Yu氏の主張を否定している。
デモ参加者の場所やデバイスを監視
Yu氏の主張によれば、「ByteDance」には「スーパーユーザー証明書」と呼ばれるものがあり、それはあらゆるバリアへの「バックドア(抜け道)」として機能したという。
その上でYu氏は、「ByteDance」社に常駐する中国共産党メンバーの特別委員会が、この「証明書」を使ってデータにアクセスし、アメリカのユーザーを含む、すべてのデータを閲覧できるようになっていたと語っている。
またその同じメンバーが、香港のデモ参加者や公民権活動家をスパイし、彼らの場所やデバイス、ネットワーク情報、SIMカードの識別、IPアドレス、通信を監視していたそうだ。
会社側は疑惑を否定
一方、「ByteDance」側は声明で、Yu氏の告発は「根拠がない」と主張。「2018年7月にFlipagram(アプリ)での雇用が打ち切られてから5年間、Yu氏がこうした申し立てをしなかったのは不思議だ」と述べている。
また「彼(Yu氏)の行動は、明らかにメディアの注目を集めることを目的としています。私たちは、この訴状にある根拠のない主張と疑惑に対して、強力に対抗する予定です」と発表した。
これに対しYu氏は弁護士を通じ、TikTokのCEOであるShou Zi Chew氏が先日、アメリカの議会で証言し、中国当局がユーザーデータにアクセスしたことを激しく否定していたことに触れ、「TikTokのCEOの議会証言を聞いて心が揺れたため、この申し立てを行うことにした」と明らかにした。
またYu氏は「法廷で堂々と真実を語ることはリスクが高いが、社会変革には真実を語る勇気が必要です。公共政策が正確な情報に基づいて行われることが自分にとって重要なので、自分の話をする決意を固めているのです」と述べたという。
Yu氏は先日行われた裁判でも、「ByteDance」が中国共産党の「プロパガンダツール」として、民族主義的なコンテンツを促進し、党の目的にそぐわないコンテンツを降格させる役割を果たしていると非難していたそうだ。(了)
出典元:METRO:TikTok owner ByteDance acccused of helping China spy on Hong Kong protesters(6/7)