ガザ北部からパレスチナ人を完全に排除か?イスラエル軍が自宅への帰還を許可せず
イスラエル軍は、ガザ地区北部から避難したパレスチナ人に対し、戦闘終了後にも、自宅に戻ることを認めないと明らかにした。
「帰宅を許可するつもりはない」
イスラエル軍のイツィク・コーエン准将は11月5日、記者会見で「ガザ地区北部の住民に対し、家への帰宅を許可するつもりはない」と語った。
イスラエル軍は、ガザ地区北部から完全に撤退しようとしているが、准将の発言は、イスラエルが組織的にガザ地区北部からパレスチナ人を排除しようとしていることを、公式に認めたものになるという。
またコーエン准将は、「ガザ地区北部にはもう民間人が残っていないため、人道支援物資は、ガザ地区南部への定期的な搬入は許可されるが、北部への搬入は認められない」と述べたそうだ。
しかし国際人道法の専門家らは、こうした行為は住民の「強制移送」と、食糧を兵器として使用するという「戦争犯罪」に当たると非難している。
「将軍たちの計画」を実行か?
イスラエル軍はここ1カ月、ガザ地区北部を包囲し続けているが、政府もガザ北部に残っている住民を、比較的安全な南部へ強制的に避難させようとしたことを繰り返し否定してきたという。
しかし人権団体や支援団体は、イスラエルがいわゆる「将軍たちの計画」を実行しようとしていると非難。この計画では、ガザ地区北部のすべての民間人を強制的に移送し、そこに残っている「ハマス」の戦闘員を包囲し、降伏と人質の解放を迫るというものだ。
またこの計画では、北部の民間人に退去期限を与え、その後残った者を、「ハマス」の戦闘員とみなすとしている。
現在、ガザ北部に何人の民間人が残っているのかは、明らかになっていない。
国連は10月、イスラエルの避難命令に従うことができない、または従おうとしない民間人が約40万人いると推定している。
もともとガザ地区を永久に占領するのは、イスラエルの公式な政策ではない。しかし先日、イスラエル軍の高官はメディアに対し、「他に代替案が検討されていないため、イスラエル政府は、ガザ地区の大部分を併合することを目指している」と語った。
ガザ地区で52人のパレスチナ人が死亡
11月7日も、イスラエル軍はガザ地区に激しい攻撃を加え、北部のジャバリアでは空爆により、27人のパレスチナ人が死亡、多数が負傷した。
同じく北部のガザ市にある学校「al-Rimal School」でも、イスラエル軍の空爆により少なくとも4人が死亡。「Sheheber School」でも12人が殺害され、多くの人が負傷したという。
中部のヌセイラト難民キャンプにあるal-Nuwairi地区にも、イスラエル軍により爆弾が投下され、3人が死亡。Netzarim地区からは、2人の遺体が回収された。
南部のラファでも、さまざまな地域がイスラエル軍により空爆され、3人の子供を含む、7人のパレスチナ人が殺害されたという。
ガザ地区の医療関係者は、11月7日にはガザ地区全域で、少なくとも52人のパレスチナ人が殺害されたと明らかにした。
またレバノンの保健省によれば、11月7日には、イスラエル軍の攻撃により、過去24時間で少なくとも53人が殺害され、161人が負傷したという。
これにより昨年10月以来、レバノンでは合計3103人が死亡し、1万3856人が負傷したことになる。(了)
出典元:The Guardian:Palestinians will not be allowed to return to homes in northern Gaza, says IDF(11/6)
出典元:Aljazeera:LIVE: Israeli strike on school-turned-shelter in Gaza kills 12(11/7)