日本の順位が思った以上に残念…世界で最も生活費の高い都市を発表
“コロナ禍”により壊滅的なダメージを受けてしまった日本のインバウンド需要であるが、それ以前の我が国が近年観光大国として躍進を遂げてきたことは間違いない。
その飛躍の理由の一つとして度々挙げられてきたのが物価、中でも外食等の安さであったが、果たしてそれは本当なのだろうか。
この度、発表された”世界で最も生活費の高い都市ランキング”が、そんな疑問を突き付けるかのような内容となっている。
最も物価が高い都市に選ばれたのは…
今回の調査は、英国の経済誌『エコノミスト』の調査部門である「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)」によって発表された「Worldwide Cost of Living 2020」というもの。
この調査は同部門が30年以上にもわたって半年に一度行っているもので、世界各国133都市における160を超える商品とサービスの価格を比較評価したものとなっている。
この調査において不名誉にも”最も生活費の高い都市”に選ばれてしまったのは、一体どこなのだろうか。
実は今回の調査において第一位に輝いてしまった都市は3つもある。
そのうちの一つは香港、もう一つはシンガポール、そして残された一つはなんと大阪となっている。
以下10位までの都市は、下記の通りだ。
4位:ニューヨーク(米国)
5位:パリ(フランス)
6位:チューリッヒ(スイス)
7位:テルアビブ(イスラエル)
8位:ロサンゼルス(米国)
8位:東京(日本)
10位:ジュネーヴ(スイス)
今回の調査においては、大阪のみならず東京もロサンゼルスと肩を並べ8位に付け、トップ10入りを果たしてしまっている。
日本の都市が2つもトップ10入りした理由とは?
一方、前回の調査において1位に選出されていたのはフランスの首都パリ。しかし同都市は今回5位にまで順位を下げている。
さらにパリのみならず、ヨーロッパの37都市中33都市は、今回の調査において順位を落としている。
それではなぜ2020年度の調査では、それらヨーロッパ各都市を尻目に日本の都市の順位が上がることとなったのだろうか。
この背景として同調査が挙げるのは円高の強まりだ。そのため、前回は13位となっていた東京も今回は8位に着けることとなっている。
他方でヨーロッパ各都市が軒並み順位を下げた理由についてEIUは、“控え目な国内需要と全世界におけるエネルギー価格の弱含みが、この1年の欧州におけるインフレ圧力を抑えてきた”と説明している。
また今回の調査においては米国のニューヨーク、ロサンゼルスといった都市も順位を上げている。この理由としては、“強い現地通貨と堅調な国内需要”が衣服や家事手伝い等の価格を引き上げているためであるという。
しかし今回の調査においては、世界的に生活費は4%の減少に転じていることも明らかとなっている。
この理由は主として世界通貨における金融緩和政策の影響、米中間の貿易戦争の不確実性、米国経済の強さが反映されたためであるということだ。
数多くある世界の有名都市を抑え、最も物価の高い都市として認められてしまった大阪と、1位となることは免れたもののトップ10入りを果たしてしまった東京。
この“コロナ禍”により次回の調査では異なる結果となりそうな気はするが、いずれにせよ我々庶民が高い物価により日々苦しめられていることは間違いない。(了)
出典:CNN:World’s most expensive cities to live in(3/19)
出典:CNBC:This Japanese city has overtaken Paris as one of the three most expensive places in the world(3/20)
出典:Business Traveller:Osaka ranks as one of world’s most expensive cities(3/22)