マンモスは一生の間に、およそ地球2周分も移動していた可能性
アラスカの研究者らにより、ケナガマンモスがどのくらいの距離を移動していたかが調べられ、その結果が発表された。
マンモスの牙を分析
この調査を行ったのは、アラスカ大学フェアバンク校や、アラスカ大学北方博物館などの研究者たちだ。
彼らは、アラスカ北部のブルックス山脈付近で発見されたオスのケナガマンモスの牙そのものや、内部に残っている化学物質を分析。
このマンモスが一生の間に、どのくらいの距離を移動してきたのかを調べた。
その結果、なんとマンモスが地球2周弱ほどの距離を移動していた可能性が明らかになったという。
牙は木の年輪のようなもの
そもそもケナガマンモスは、更新世と呼ばれる先史時代の寒冷期に、北緯度地域を歩きまわっていたという。
またマンモスの牙は、ちょうど木の年輪のように、彼らの生活に関する情報を残しているそうだ。
さらに牙の内部にある化学物質は、マンモスがどこを移動していたのかも、示してくれる。
研究者はこれらの2つの要素を組み合わせて、1万7000年前のマンモスの移動の歴史を紐解いていったという。
28年間で7万kmも移動
研究者は長さ1.5mの牙に含まれるストロンチウムと酸素の化学元素の種類(同位体)を調べ、これらの同位体の種類を、アラスカ全体の同位体の変化を示す地図と照合したという。
この結果、マンモスが28年の間に、7万kmもアラスカを移動していたことが明らかとなる。地球1周分の距離は4万kmだから、相当な距離だ。
もっともまだ、マンモスが季節によって移動する習性があったのかは明確にはなっていない。ただ今回の研究により、驚異的な移動能力を持っていたことが明らかになり、それが同時にこの生物の絶滅の手がかりになると考えられている。(了)
出典元:BBC:Tusk reveals woolly mammoth’s massive lifetime mileage(8/12)