米国で植物状態の女性が突如出産、緊迫した現場の状況が明らかに
米国で植物状態にある女性が出産し、性的暴行を受けた疑いが強いとして、衝撃が広がっている。
20年以上も入所していた女性の突然の出産
植物状態にある女性が突然出産したのは、先月29日のこと。女性が入院していたのは米国アリゾナ州の介護施設「Hacienda HealthCare」だ。
State requesting pregnancy and STD testing for all Hacienda Healthcare patients https://t.co/YKqjZ3DjyT pic.twitter.com/CKxleYcSJB
— 12 News (@12News) January 17, 2019
出産した女性は現在29歳であるが、裁判の記録によると1992年より同施設に入居していたとみられている。
警察は女性が性的暴行の被害を受けたと判断し、施設で働く男性従業員のDNAの採取を開始しているが、現在までのところ容疑者は発見されていないという。
また介護士らは救急隊員に「我々は彼女が妊娠していたなんて、考えもしなかった」と話している。
緊急通報の音声公開により明らかとなった緊迫の現場
一方、警察は女性の出産の際、介護士らが行った緊急通報の音声を公開。緊迫した現場の状況が明らかとなった。
音声は「助けが必要です、お願いします」と叫ぶ看護師の声から始まる。
さらに看護師は「赤ちゃんが青ざめていっています!」と繰り返し、予断を許さない状況であることが伝わる。
これに対し電話を受けた男性が何が起きているか尋ねると、看護師は「ある人がたった今赤ちゃんを産んだんです、患者の一人がたった今赤ちゃんを産んだんです。でも我々は彼女が妊娠していたなんて、考えもしなかったんです」と言い、さらに「我々は(出産に)準備をしていなかったんです」と取り乱した様子を見せている。
女性が植物状態にあることを最後まで伝えなかった看護師
この後も音声は続く。
電話越しに「赤ちゃんは息をしている?赤ちゃんは息をしていません、赤ちゃんは青ざめています」と話す看護師。
これに対して男性が「お母さんの容体はどうですか?」と尋ねると、看護師は「お母さんは大丈夫です、お母さんは大丈夫なように見えます」と応答するが、「我々はこの人が妊娠しているとは思いもしなかったんです」と再び繰り返す。
すると男性は「彼女は妊娠してどれくらい経つかといったことを知っていましたか?」と尋ねるが、これに対し看護師は「全くわかりません。これは全く予期していなかったことです」と返答。
しかしこの段階においても、看護師は出産した女性が植物状態にあることを伝えていなかった。
一方、電話の間にも赤ちゃんを蘇生させるための治療は続き、ついに赤ちゃんは息を吹き返す。
女性の家族も事件に衝撃
警察によると、出産後女性と赤ちゃんは病院で治療を受けているという。
しかし弁護士は、女性の家族がこの事件に対して“暴行と彼らの娘へのHacienda HealthCareにおける不注意に対し、激怒し傷つきショックを受けている”としている。
他方で弁護士によると、生まれた赤ちゃんの面倒は女性の家族がみるとのことだ。
これに対しHacienda HealthCare側は、今回の件が“深く憂慮すべき事件”であるとコメント。さらに同施設の運営会社でCEOを務めていたBill Timmons氏は辞職している。
なぜ女性の妊娠に誰も気づかなかったのか?
一方、気になるのはなぜ施設の看護師らが女性の妊娠に気が付かなかったのか、ということだ。
裁判所の記録によると、女性は4月16日に外診を受診。しかしこの際には、女性の健康状態に何ら変化は見られなかったという。
さらに植物状態にあった女性は毎日同じ量の栄養を摂取しており、妊娠後にも与えられる食事や栄養が変化することはなかった。
そのため専門家は、妊娠しているにも関わらず女性に体重の変化といったことがみられなかったため、看護師らが彼女の妊娠に気付くことができなかった、という見方を行っている。
植物状態にあった女性が出産するという衝撃的な事件。事件の全容が一刻も早く解明されることを願うと共に、このようなことが二度と起こらぬことを望むばかりだ。(了)
出典:CNN:‘We had no idea this patient was pregnant,’ nurse tells 911 operator after woman in vegetative state gave birth(1/11)
出典:Fox News:Woman in vegetative state may not have shown signs of pregnancy prior to birth, expert says(1/11)