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フィンランドの“ベーシックインカム”導入実験が折り返し地点に、その結果はいかに?

フィンランドの“ベーシックインカム”導入実験が折り返し地点に、その結果はいかに?
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フィンランドで実施されていた“ベーシックインカム”を試験的に導入する実験的試みが、折り返し地点を迎え、その結果に注目が集まっている。

 

フィンランドで行われた実験の内容とは

 

フィンランドで行われたベーシックインカムの導入実験においては、失業中の25歳から58歳の人の中から無作為に2000人を選出。

 

2年間にわたり月額560ユーロ(約7万円)を無条件で支給し、その間に受給対象となった人が仕事を見つけることができても受給は続行された。

 

実験は2017年1月より開始され、2020年に終了を迎える予定となっている。

 

またこれを行う目的としては、仕事に就くことができない、あるいは働かないことを選択している人々に対してセーフティーネットを提供することで、収入を失うことを恐れずに賃金の低い仕事や一時的な仕事に就くことを促す、というもの。

 

つまり最低限の生活の保障が、職を持たない人にとって仕事に就く動機付けとなるのでは、という考えの下で行われた。

 

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そもそもベーシックインカムとは?

 

そもそもベーシックインカムとは政府によって支給されるお金で、最低限の生活を営むために必要とされる収入を保障するため無条件で給付されるもの、と定義されている。

 

この支持者らは、ベーシックインカムにおいては一定の収入を安定して得ることができるため、受給者らが新たなビジネスを始める原動力となる、と主張する。

 

それに対しベーシックインカムを支持しない人は、これは単に受給者の仕事を探すモチベーションを下げるだけとなる、との見方を示している。

 

一方、近年ベーシックインカムに注目が集まっているのは、人工知能等の発達により多くの人が職を失う未来が到来することが予想される中、どのようにして人々の生活を保障するのかという観点が挙げられる。

 

フィンランド以外でも世界では近年ベーシックインカムの試験的導入を行う自治体が少しずつ現れており、昨年には米国カリフォルニア州のストックトン市などでも実験が行われ、今後類似した試みを行う国や自治体はさらに増えていく可能性もある。

 

実験の結果はいかに?

 

しかし実際のところ、フィンランドにおける実験の結果はどうなったのだろうか。

 

これまでの実験の結果として、フィンランド当局はベーシックインカムを受給した人においては幸福度が増したと伝えている。

 

またフィンランドの社会保険機関(KELA)で研究を行うMinna Ylikanno氏は、ベーシックインカムの受給者は社会保障を受給する5000人もの人々と比較すると、将来的にストレスが少なくより健康的で、さらにより自信があるように見える、としている。

 

他方でフィンランド当局は560ユーロという額を得た人々が仕事に就き、当初期待されていたほどの額を稼いだのかということについては、失敗に終わったと結論付けている。

 

フィンランドの厚生大臣Pirkko Mattila氏はこれについて「雇用における影響は少ないようだ」とコメント。

 

一方で今回導き出された結果は、2年間にわたり行われる実験の中でも、最初の1年の結果のみを抽出し結論付けられたもの。

 

そのためKELAは、実験の結果から“はっきりとした結論を導き出すことはまだできない”としている。

 

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フィンランドにおいて行われたベーシックインカム導入の実験的試み。その最終的な結論が出される日の訪れを待ちたいところだ。(了)

 

 

出典:NBCNews.com:Finland’s basic income experiment hits the halfway mark(2/8)

出典:ライフハッカー[日本版]:米国でベーシックインカムの検証がスタート。その課題と可能性とは?(2018/5/28)

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