ベルギーの大学で死亡した黒人学生、実は人種差別的な動機で殺された見方が強まる
ベルギーで以前、死亡した黒人の大学生を巡り、事件に人種差別的な動機があるとの見方が強まっている。
白人メンバーの同好会に入ろうとしていた
その黒人の大学生とは、Sanda Diaさん(当時20歳)。彼は2018年にベルギーで最も有名な大学、ルーベンカトリック大学(現在はK.U.ルーヴェン)に入学する。
野心的な彼は、その後白人のエリート学生らとの交友を望み、彼らがメンバーとなっている同好会「Reuzegom」に入ろうとしたという。
しかし入会のための儀式を受けたところ、Diaさんは死亡してしまう。
その儀式では、Diaさんは他のメンバーによって大量に酒や魚のオイルを吐くまで飲まされ、また生きた金魚を飲み込むよう強要され、氷で凍てつく道に立たされたそうだ。
それから2カ月後の2018年12月、Diaさんは低体温症や多臓器不全によって亡くなった。この白人のメンバーは、判事や会社経営者、政治家などの息子たちで構成されていたと言われている。
A Belgian college student saw a white fraternity as his ticket. His death in a vicious hazing ritual exposed ugly truths about the country’s racism.https://t.co/BIeAAd3mfZ
— The New York Times (@nytimes) October 4, 2020
メンバーが「KKK」の衣装を着ていた
当時、Diaさんの死は、入会の儀式による悲劇的な事故と捉えられてきたが、最近新たに見つかった証拠などにより、実は人種差別的な要素が絡んでいたとの見方が強まっている。
数週間前には、当時の儀式の様子を写した写真が浮上。そこには同好会のメンバーが白人至上主義団体「KKK」の白い衣装を着ている様子が映っていた。
またDiaさんはメンバーらによって「黒人は白人のために働け!」といった差別的な言葉を浴びせられていたとも言われている。
さらにある動画では白人のメンバーらが、スピーチで「我々のドイツ人の友人、ヒトラー」と述べたり、または人種差別的な歌を歌ったりしていたという。
この時の様子は「WhatsApp」というメッセージ(チャット)アプリに記録され、メンバーらが痕跡を消すためデータを消去したようだが、その後警察に回収され、彼らの素性も明らかになったそうだ。
「これは事故ではない」
Diaさんの兄弟であるSeydou De Velさんは、「これは事故ではない」と述べており、警察も現在捜査を進めているという。
ただオランダ語圏のフランダースでは、K.U.ルーヴェンのような有名な大学でさえ、人種差別や外国人排斥の動きが高まっているという。
ベルギーの大学はアメリカの大学と同様に、一般的には左派と見なされている。しかし、この大学のキャンパスやクラブでは活気づいているフランダースの保守主義を反映しており、ナショナリスト運動の高まりを受けて、ますます公然と人種差別的で反移民的になっているという。(了)
出典元:New York Times:A Black Belgian Student Saw a White Fraternity as His Ticket. It Was His Death.(10/4)
出典元:Mirror:Black student dies in initiation to join uni club where ‘members dressed in KKK robes’(10/5)