動物園で2羽のゲイのハゲワシが協力し、捨てられた卵を孵化させることに成功
オランダの動物園でオスのハゲワシたちが卵をかえし、協力してヒナを育てている非常に珍しい現象が確認された。
●巣を作り続けてきたゲイのカップル
そんな行動が確認されたのは「Artis Amsterdam王立動物園」。そこのスタッフたちが2羽のシロエリハゲワシのオスたちに卵を与えたところ、無事にヒナが返っていることが明らかになったそうだ。
スタッフのJob van Tolさんによれば、そもそも2羽のオスたちは動物園で数年間飼育されており、その間に固い絆で結ばれ、やがてカップルとなって常に巣を作り続けてきたという。
しかしオスである彼らには当然、卵を産むことができない。
●捨てられたハゲワシの卵を与えてみる
その頃、スタッフはちょうど捨てられて、他の者も世話をしないハゲワシの卵を発見する。
それを当初は孵卵器で育てていたのだが、やがて卵を2羽のオスに与え、彼らの巣に置いてみることに。
するとオスたちは熱心に世話をし始め、2カ月間も巣の中で暖め続け、親としての仕事を完璧にこなし、ついに卵を孵化させることに成功したという。
しかも今ではすでにヒナも生後20日を過ぎて成長を続けており、オスの親たちもエサを食べやすいように切り取って与えるなど、熱心に面倒を見ているそうだ。
●育児に熱心なハゲワシ
Van TolさんはBBCの取材に対し、次のように語っている。
「ある種のペンギンにもみられるように、ハゲワシも同じことをします。彼らは全ての仕事を交互に行うのです。メスは卵を産みますが、彼らは一緒にエサを取り、ヒナに与えるのです。オスも世話をする義務を持つような性質を身につけているのです」
またアメリカのNorth Carolina動物園のCorinne Kendall博士も、取材に対し次のようにコメントした。
「ハゲワシは本当に良くヒナの世話をするのです。古代エジプト人も育児についてはハゲワシを敬っていました。ハゲワシは女性らしさの象徴とみなされていたのです。このような機会が与えられれば、2羽のオスが卵の世話をすることは道理にかなっています。卵を産む以上に、彼らは子育てのあらゆる段階を踏むことができるのです」
今回、Artis Amsterdam王立動物園では、もう1組のオスとメスのカップルも捨てられたハゲワシの卵を孵化させたという。
そのためスタッフらは、今回生まれた2羽のヒナたちが成長し一人立ちする頃には、野生に放したいとしている。(了)
出展元:BBC:‘Gay’ vultures become parents in Amsterdam zoo(6/1)