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ミャンマーの少数民族「ロヒンギャ」、その父親が亡くなった息子の写真を公開する

ミャンマーの少数民族「ロヒンギャ」、その父親が亡くなった息子の写真を公開する
Facebook/Kanthan

ミャンマー国内で迫害を受けていると報じられているイスラム系の少数民族「ロヒンギャ」。

 

その男性が避難の途中で亡くなった我が子の写真を公開し、CNNのインタビューに答えた。

 

迫害をされてきた少数民族

 

「ロヒンギャ」とはミャンマーのラカイン州北西部に住む少数民族で、ミャンマー政府から「バングラディッシュ」などからの不法移民として扱われ、存在すら認められず、無国籍状態で迫害を受けてきたと言われている。

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そして昨年の10月にミャンマー国境警備兵が襲撃された事件で、ロヒンギャの犯行として国軍が武装集団と衝突。さらにその後、治安部隊がロヒンギャ住民に対し焼き討ちやレイプ、集団虐殺を行ったとする疑惑が浮上しているという。

 

そのロヒンギャの男性が世界に事実を知ってほしいという願いから、CNNの取材に応じ、生後16カ月になる息子のMohammed Shohayet君が泥に埋まって死んでいる写真を公開した。

 

逃亡中に家族と離れ離れに

 

その男性とはZafor Alamさん。彼はCNNのインタビューで次のように語っている。

 

「村ではヘリコプターが私たちを標的に攻撃してきました。そしてミャンマー軍の兵士もわれわれに発砲してきたのです。私たちはもはや家にとどまることはできなかった。そのためジャングルに逃げ込んだのです」

 

「私の祖父と祖母は焼け死にました。私たちの村全体も兵士たちに焼かれ、もはや何も残っていません」

 

その後、彼は迫って来る軍から逃れるため、妻と2人の息子とともに移動を続けるが、やがて家族と離れ離れになってしまったという。

 

そしてなんとかバングラディッシュとの国境を流れるNaf川へたどり着き、泳いでいるところを地元の漁師に助けられ、国境を越えることができたそうだ。

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妻や子供に国境を越えさせようと試みる

 

それからAlamさんは、離ればなれになった家族を安全な場所へ連れてこようと試みることに。

 

彼は取材に対し次のように語った。

「私は船を持っている人に接触し、妻と息子たちが川を渡れるよう助けて欲しいとお願いしました。その時、家族は川の向こう岸で待っていたのです」

 

「私は12月4日に家族に電話をしました。家族はミャンマーに残され絶望的な状態でした。その時の会話は、私たちが交わした最後のものになりました。妻と電話で話している時、一番幼い息子が『パパ、パパ』と呼ぶ声が聞こえていました」

 

やがて電話を切ってから数時間後、家族は川を渡る行動に出たという。

 

「しかしミャンマーの警察は、人々が川を渡る準備をしていることに気づいたのです。そして発砲してきました。船の乗組員は銃弾を避けるため、急いで全ての人々を乗船させようとしました。しかしその結果、船は重量制限をオーバーし沈んでいったのです」

 

子供の遺体の写真が送られてくる

それから1日後、Alamさんは何が起きたのかを知ることになる。

 

「誰かが私に電話をかけてきました。そして息子が遺体で見つかったと教えてくれたのです。その人はモバイルフォンで亡くなった息子の姿を撮影していました。それを私に送ってくれたのです。私は言葉を失いました」

 

その時の写真が泥に埋まったMohammed Shohayet君の写真とされている。Alamさんは当時の気持ちを次のように語っている。

 

「その写真を見た時、むしろ私は死にたいと感じました。私にはもはや誰も残っていません。私の2人の息子も妻も死にました。全ては終わりです。この世界には私たちが住める場所は1つもないのです」

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ミャンマー政府は人権侵害を否定

 

一方、ミャンマー政府の報道官であるAye Aye Soe氏はCNNの取材に対し、示された迫害の証拠については全てプロパガンダか、誤った情報だと書面で回答したという。

 

また一連の軍の行動も、10月9日に起きたミャンマーの国境警備兵襲撃に関与した容疑者らを掃討するための作戦だったと主張。

 

さらにミャンマー軍が11月12日にロヒンギャの村をヘリコプターで攻撃したことを認めたが、これも武装した容疑者と彼らに協力している住民らを追い払い、待ち伏せされていた国軍兵士を救うための作戦だったと語っているそうだ。

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このような事態の結果、ここ数カ月間で約3万4000人のロヒンギャの人々が国境を越え、難民となり苦しい生活を余儀なくされているそうだ。

 

ミャンマー政府は引き続き人権侵害がなかったかどうか調査すると述べているが、混沌とした状況の中で一体何が起きているのか、今後も動向に注目していきたい。

 

出典元:CNN:‘The Rohingya Alan Kurdi’: Will the world take notice now?(1/3)

参考:SYNODOS:ロヒンギャ問題はなぜ解決が難しいのか(2015/11/6)

参考:AFP:ミャンマー西部で武装集団と軍部隊が衝突、20人超死亡(2016/10/13)

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