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イスラエルの首相、性的虐待報道に関し、NYT紙を名誉毀損で提訴すると脅迫

イスラエルの首相、性的虐待報道に関し、NYT紙を名誉毀損で提訴すると脅迫

イスラエルのネタニヤフ首相と、ギデオン・サール外相は、拘束されたパレスチナ人に対する性的虐待報道を巡り、アメリカのニューヨーク・タイムズ紙を提訴すると脅迫した。

 

イスラエル軍の拘留施設でレイプや性的虐待

 

イスラエル外務省は5月14日、SNSに「ニコラス・クリストフ氏によって書かれた、イスラエル国家に対する最も醜悪で歪曲された嘘の一つを、ニューヨーク・タイムズ紙が掲載し、支持したことを受け、ベンヤミン・ネタニヤフ首相とギデオン・サール外相は、ニューヨーク・タイムズ紙に対する名誉毀損訴訟の提訴を指示した」と投稿した。

 

名指しされたニコラス・クリストフ氏は、ニューヨーク・タイムズ紙の記事で、パレスチナ人の女性や男性、子供がイスラエル軍の拘留施設でレイプや性的虐待を受けているという疑惑を詳述したという。

 

イスラエル側の脅迫に対し、ニューヨーク・タイムズ紙の広報は、「昨年行われたものと同様のこの脅迫は、独立した報道を弱体化させ、特定の物語に合わないジャーナリズムを抑圧することを目的とした、使い古された政治的手口の一部だ。そのような法的主張には根拠がない」と一蹴した。

 

詳細な取材、事実の裏付け

 

クリストフ氏の記事は5月11日に、ニューヨーク・タイムズ紙の論説欄に掲載され、イスラエルの刑務官や兵士、入植者、尋問官による性的虐待(レイプを含む)の疑惑を詳細に報じた。

 

クリストフ氏は、弁護士や人権団体、援助活動家、そして「一般のパレスチナ人」に聞き込みを行い、性的虐待の被害者を見つけ、14人の男女にインタビューを行ったという。

 

またクリストフ氏は記事の中で、取材により多くの証言を裏付けることができたものの、中には「恥の意識から、たとえ身近な人に対しても虐待されたことを認めようとしない人がいるため、裏付けが取れなかったケースもあった」と認めている。

 

さらにクリストフ氏は「イスラエルの指導者がレイプを命じたという証拠はない」としながらも、イスラエル当局が懸命にこの事実を否定していることを、記事の中で詳しく伝えていた。

 

ニューヨーク・タイムズ紙の広報担当者チャーリー・スタットランダー氏は、5月13日に発表した声明の中で、次のように述べていた。

 

「クリストフ氏が14人の男女に行ったインタビューは、可能な限り他の目撃者や、被害者が打ち明けた家族や弁護士を含む人々によって、裏付けられました。詳細は徹底的に事実確認され、報道記事、人権団体による独立調査、世論調査、そしてあるケースでは国連の証言と照合されました。記事中の主張については、取材と事実確認の過程を通して、独立した専門家に意見を求めました」

 

米裁判所が受理する可能性はない

 

そもそもイスラエル兵が、拘留した施設でパレスチナ人の男性らをレイプしていることは、すでに公にされており、さまざまなメディアも報じてきた。

 

しかもイスラエル側は、この訴訟をどの国で起こすのか、明らかにしていない。

 

ロジャー・ウィリアムズ法科大学院名誉教授で、メディア法専門家のデビッド・A・ローガン氏は「アメリカの裁判所が、そのような訴訟を受理する可能性は全くない」と述べている。

 

またローガン氏によれば、アメリカ合衆国憲法修正第1条には、政府批判者に対する、政府による訴訟や訴追を禁じる法的コンセンサスが存在するという。(了)

 

出典元:The Guardian:Israel says it will sue New York Times over article on sexual abuse of Palestinian prisoners(5/14)

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