ジョン・F・ケネディ暗殺事件の極秘資料の公開を延期へ、その理由とは?
アメリカのジョー・バイデン大統領は、ジョン・F・ケネディ元大統領の暗殺事件に関する極秘資料の公開を延期すると発表した。
一部は今年の12月に公開予定
ジョン・F・ケネディ元大統領は1963年11月22日、テキサス州のダラスでパレード中に銃で撃たれ死亡。その後、捜査が行われた。
そして事件の真相に迫ると見られる当時の極秘資料は、2021年に公開される予定となっていた。
しかしバイデン大統領は10月22日、この極秘資料の公開をしばらく延期すると発表。資料のいくつかは今年の12月15日、残りは1年間集中的に確認作業を行った後、2022年12月15日に公開される予定となった。
公開延期の理由とは?
ホワイトハウスが発表したメモによれば、この公開の延期は公文書保管人の勧告によるもので、彼らによれば、新型コロナのパンデミックが、文書編集・確認する各機関に大きな影響を与えているという。
また公文書保管人は「これらの決定を下すことは、専門的、学術的、秩序あるプロセスを必要とする問題であり、急いで決定したり発表したりするものではない」と指摘。各機関が、より多くの時間を必要としていることに同意した。
バイデン大統領も「軍事的防衛、情報活動、法執行、外交関係の遂行に対する特定可能な損害から保護するためには、一時的に(公開の)延期を続けることが必要であり、それは即時公開の公益を上回るほど重大なものである」と述べたという。
1992年に成立した「ジョン・F・ケネディ暗殺記録収集法」により、全ての暗殺事件の記録は、発生から25年以内、つまり2017年10月には公開される予定になっていたという。ただし、この法律には例外規定が設けられ、国家安全保障上の懸念が公開の公益性を上回る場合には延期が認められていたそうだ。
そしてドナルド・トランプ元大統領は2017年、残りのJFKファイルを公開する計画を発表したが、国家安全保障上の理由から一部のファイルの公開を延期。新たな期限を2021年10月26日に設定した。
2018年、トランプ氏は結局1万9045件の文書の開示を許可したが、そのうち約4分の3には何らかの編集が施されていたとも言われている。また国立公文書館は、記録の約88%が1990年代後半以降に公開されたと記している。
ジャーナリストや遺族は公開延期を批判
2003年にケネディ暗殺に関連する記録を求めてCIAを訴えた「JFKFacts.org」の編集者、ジェファーソン・モーリー氏は、公開をさらに延期するというバイデンの決定を批判。
またジョン・F・ケネディ氏の甥にあたるRobert F. Kennedy Jr氏も、メディアに対して「これは暴挙だ。アメリカの民主主義に対する暴挙だ。政府の中に秘密の政府があることは想定されていない。58年も経っているのに、一体何がこの文書を公開しないことを正当化できるのだろうか?」と述べて批判している。
またPatrick Kennedy氏も「この記録が公開されるべきなのは、彼の家族のためではない。アメリカ市民には『大統領だけでなく、明るい未来への約束を失ったこの国の魂に大きな傷跡を残したもの』について知る権利があるからです」と述べている。(了)
出典元:The Washington Post:Biden postpones release of JFK assassination files, citing pandemic-related delays(10/23)
出典元:POLITICO:‘An outrage against democracy’: JFK’s nephews urge Biden to reveal assassination records(10/24)