ポンペイの遺跡で、美しいフレスコ画を複数発見
イタリアにあるポンペイの遺跡から、保存状態のよいフレスコ画が複数発見された。
宴会場の壁にフレスコ画
先日、ポンペイの第9区地域の遺跡を発掘中、かつての私邸から長さ15m、幅6mに及ぶ宴会場の跡が発見されたという。
そしてその部屋から、ギリシャ神話のトロイア(トロイ)戦争に関する人物を描いた、複数のフレスコ画も発見されたそうだ。
それらのフレスコ画は保存状態が良く、これまでに行われた発掘の中で、最も驚くべき発見とされている。
トロイア戦争のきっかけになった人物
1つのフレスコ画には、トロイアの王子・パリスと、スパルタ王妃のヘレン(ヘレネー)とが初めて出会う場面が描かれていたという。
トロイアの王子・パリスがヘレンを連れ去ったことで、アガメムノーンを中心とするアカイア軍が遠征し、トロイア戦争が始まったと言われている。
またそのフレスコ画には犬が描かれ、トロイア王子の別名である「アレクサンドロス」と書かれたギリシャ語の碑文が刻まれていたそうだ。
別のフレスコ画には、ギリシャ神のアポロンが、巫女のカサンドラを口説こうとしている様子も描かれていたという。
人々が集まり食事をしていた
ポンペイ考古学公園の園長、Gabriel Zuchtriegel氏は、描かれた神話上の人物には、ゲストをもてなし、祝宴の際の話題を提供するという明確な役割があるとし、次のように述べている。
「人々は日没後に集まって食事をしたのでしょう。ランプの明滅する光は、画が動いているように見える効果がありました。特にカンパーニア産の美味しいワインを数杯飲んだ後は、そうだったでしょう」
これらのフレスコ画は、紀元前15年から紀元後40~50年の間に描かれたと見られ、表情や影など細部への高い配慮が伺えるという。(了)
出典元:The Guardian:Banquet room with preserved frescoes unearthed among Pompeii ruins(4/11)