タイセイヨウセミクジラ、保護活動により、個体数が緩やかに回復

地球上で最も希少なクジラの一種である、タイセイヨウセミクジラ。この個体数が増加傾向にあると、科学者たちが報告している。
個体数は推定384頭
セミクジラの保護と管理をしている組織「北大西洋セミクジラコンソーシアム」が10月21日に発表した報告書によれば、現在、タイセイヨウセミクジラの個体数は推定384頭で、前年より8頭増加しているという。
また過去4年間、タイセイヨウセミクジラの個体数は緩やかな増加傾向にあり、2020年の個体数の7%以上も増加しているそうだ。
タイセイヨウセミクジラは、船舶との衝突や漁具への絡まりに対し弱く、個体数は2010年から2020年の間に、約25%も減少したと言われている。
#BREAKING: New estimates reveal that the North Atlantic Right Whale population has increased – proving their resilience.
With just 384 remaining, we can’t let Congress threaten one of the only laws protecting them.
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— Oceana (@oceana) October 21, 2025
負傷などにより繁殖力が低下
カナダでは、クジラの安全確保のための新たな管理措置が実施されており、それが個体数の増加につながっているとの見方が出ている。
アメリカのボストンにあるニューイングランド水族館の上級科学者、フィリップ・ハミルトン氏も、タイセイヨウセミクジラの個体数が回復傾向にあることは、保護対策の重要性を証明していると述べている。
クジラは負傷したり栄養不足になったりすると、繁殖する可能性が低くなり、個体数を維持するのに十分な数の子孫を産めなくなるそうだ。
しかしハミルトン氏によると、今年は初めて、4頭の母クジラが子供を産み、また他の母クジラの中には、出産間隔が短くなっているものもあったという。
また「北大西洋セミクジラコンソーシアム」の議長を務めるヘザー・ペティス氏も、次のように述べている。
「推定個体数がわずかに増加し、死亡例も確認されていないこと、そしてここ数年に比べて負傷例も少ないことから、タイセイヨウセミクジラの将来については、慎重ながらも楽観視できる。これまでの経験から、この個体群は急激に変化する可能性がある」
ただし環境団体などは、依然クジラが絶滅の危機に瀕しているとし、完全な回復には、より積極的な保護が必要だと警告している。(了)
出典元:ABC News:Scientists say North Atlantic right whale population slowly increasing(10/21)


























