わずか25の都市が、世界の温室効果ガスの50%以上を排出
世界のわずかな都市が、多くの温室効果ガスを排出していると指摘する、研究結果が発表された。
上位3つの都市は中国
この研究を行ったのは、中国の中山大学などの研究者だ。
彼らは地球温暖化をもたらす温室効果ガスを、世界167都市がどの程度排出しているのかを調べ、その結果を科学誌「Frontiers in Sustainable Cities」において発表した。
それによれば、わずか25の都市が、世界の温室効果ガスの52%を排出していたことが明らかになったという。
また最も多くの温室効果ガスを排出している上位3つの都市は、中国河北省の邯鄲市、上海、江蘇省の蘇州。またモスクワを除き、上位16位までがすべて中国の都市となっている。
世界人口の半分が住む、面積は2%ほど
今回の研究は、世界の主要都市が排出する温室効果ガスのバランスシートとしては初めてのもので、2015年にパリ協定が結ばれた後に導入された政策が、どの程度の効果があるのかを検証しているという。
そして現在では、都市が温室効果ガスの排出量の70%以上も占めていると報告されている。
都市の面積は地球全体の表面積の2%にすぎないが、世界人口の50%以上が住んでいることを考えると、都市は気候変動の深刻な原因となっているそうだ。
東京も17位、横浜や大阪も
それらの都市の年間排出量は次のようになる。(単位はメガトン)
下は英紙「METRO」が排出量の多い順にまとめたもの。(英語表記のままだが、お許しいただきたい)
- Handan, China (199.71)
- Shanghai, China (187.93)
- Suzhou, China (151.79)
- Dalian, China (142.51)
- Beijing, China (132.58)
- Tianjin, China (125.89)
- Moscow, Russia (112.53)
- Wuhan, China (110.86)
- Qingdao, China (93.56)
- Chongqing, China (80.58)
- Wuxi, China (76.88)
- Urumqi, China (75.32)
- Guangzhou, China (71.03)
- Huizhou, China (68.74)
- Shijiazhuang, China (67.80)
- Zhengzhou, China (66.16)
- Tokyo, Japan (66.08)
- Shengyang, China (64.10)
- Kaohsiung, China (63.64)
- Kunming, China (62.96)
- Shenzhen, China (62.91)
- Hangzhou, China (61.41)
- Hong Kong, China (55.90)
- Yinchuan, China (55.49)
- Chengdu , China (54.49)
- New York City, US (51.31)
- Manilla, Philippines (49.47)
- Bangkok, Thailand (49.22)
- Dubai, UAE (48.26)
- Seoul, Korea (48.06)
- Nanjing, China (47.94)
- Istanbul, Turkey (47.53)
- Frankfurt, Germany (45.73)
- Jakarta, Indonesia (43.86)
- Changchun, China (42.62)
- Guiyang, China (42.09)
- Saint Petersburg, Russia (42.07)
- Singapore, Singapore (40.38)
- Jinan, China (38.49)
- Perth, Australia (36.33)
- San Diego, USA (35.02)
- Jiaxing, China (33.94)
- London, United Kingdom (33.58)
- Houston, USA (33.41)
- Stuttgart, Germany (32.82)
- Caracas, Venezuela (31.77)
- Chicago, USA (31.48)
- Harbin, China (30.81)
- Mexico City, Mexico (30.69)
- Lanzhou, China (29.87)
- Lagos, Nigeria (29.33)
- Xi’an, China (28.15)
- Berlin, Germany (27.48)
- Taiyuan, China (26.73)
- Los Angeles, USA (26.55)
- Tshwane, South Africa (26.14)
- Nanchang, China (25.17)
- Sao Paulo, Brazil (24.95)
- Johannesburg, South Africa (24.72)
- Changsha, China (24.64)
- Hohhot, China (23.47)
- Durban, South Africa (22.68)
- Mumbai, India (22.57)
- Hanoi, Vietnam (22.42)
- Torino, Italy (21.86)
- Cape Town, South Africa (21.53)
- Yokohama, Japan (20.96)
- Nanning, China (20.90)
- Santiago, Chile (20.03)
- Osaka, Japan (19.76)
- Hamburg, Germany (19.45)
- Chennai, India (19.32)
- Hefei, China (18.81)
- Toronto, Canada (18.08)
- Rotterdam, Netherlands (17.54)
この順位からも分かる通り、やはり中国の都市が多く温室効果ガスを排出しており、日本も17位に東京、67位に横浜、70位に大阪が含まれている。
ただし1人あたりの排出量で見ると、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアの都市の方が、発展途上国のほとんどの都市よりも排出量が著しく多いという。
また発展途上国に分類されている中国にも、一人当たりの排出量が先進国全体の排出量に匹敵する都市がいくつかあるそうだ。
しかし研究者らは、多くの先進国が炭素量の多い生産ネットワークを中国に委託しているため、中国では先進国のための輸出関連の排出量が増加していると指摘している。(了)
出典元:METRO:25 ‘megacities’ produce 52% of the world’s urban greenhouse gas emissions(7/13)