EUの規制当局が、J&Jの新型コロナワクチンに別の血栓ができる可能性を指摘
欧州連合(EU)の医薬品規制当局は、ジョンソン&ジョンソン(J&J)の新型コロナワクチンについて、稀に別の血栓ができる可能性があると指摘した。
深部静脈にできる血栓
EUの規制当局「欧州医薬品庁(EMA)」は10月1日、J&Jの新型コロナワクチンと、深部静脈に血栓ができる稀な症状「深部静脈血栓症」との間に関連性がある可能性を指摘。
この症状をワクチンの副作用としてリストに記載するよう勧告した。深部静脈とは、下腹部や太もも、膝の中心を走る静脈のことで、ここに血の塊(血栓)ができると重症化する場合があるという。
またEMAは、このワクチンが血小板を誤って攻撃してしまうことで起きる出血性疾患の「免疫性血小板減少症(ITP)」を、頻度不明の有害事象(副反応)として、J&Jやアストラゼネカ社のワクチン製品情報に追加記載することを勧告したそうだ。
「症状が出る確率は低い」と主張
J&J側は、この症状が発症する確率は低いと主張。しかし同時に、EMAを含む当局との緊密な連携を継続し、製品情報を適宜更新していくとした上で、次のように述べている。
「当社は、稀な出来事である兆候や症状についての認識を高め、それらが迅速に特定され、効果的に治療されることを積極的にサポートします」
アストラゼネカと同じベクター型ワクチン
そもそもJ&Jとアストラゼネカの新型コロナワクチンは、両方とも無害なベクターウイルス(ベクター:運び屋)を基にして作られている。
ベクターウイルスは、新型コロナの感染に対抗するため、人間の細胞に対し、免疫システムの準備をするタンパク質を作るよう指示するそうだ。
ただ両方のワクチンとも、以前から血栓症と血小板の減少が組み合わさった稀な症状、「血小板減少性血栓症症候群(血小板減少症を伴う血栓症:TTS)」との関連が指摘されてきた。
しかしEMAは、今回製品情報に記載される「静脈血栓塞栓症(VTE)(深部静脈血栓症と肺動脈塞栓症が合わさった症状)」は、「血小板減少症を伴う血栓症(TTS)」とは別のものだと述べている。(了)
出典元:Reuters:EU finds J&J COVID shot possibly linked to another rare clotting condition(10/1)