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ドイツでアンネ・フランクの名を冠した電車の運行計画が物議に

ドイツでアンネ・フランクの名を冠した電車の運行計画が物議に
flickr_BM für Verkehr und digitale Infrastruktur

ドイツの国有鉄道会社、ドイツ鉄道が新型高速鉄道ICE4系の列車に、歴史的に名のある複数の個人の名を冠することを計画するも、その一案が物議を醸している。

 

歴史的偉人らの名が鉄道の名に

 

列車の名となる可能性がある個人の名前としては、ドイツの政治家コンラート・アデナウアーや作家エーリッヒ・ケストナーなど、第二次大戦中ナチスに対し抵抗を行った人物の名が挙げられている。

 

ドイツ鉄道はこの目的について、「これらの人々への敬意を表するとともに、彼らのことを記憶に留めておくため」と説明する。

 

その中にアンネ・フランクの名が挙がるも物議に

 

しかしこれらの人物の中にアンネ・フランクが含まれることは、1944年に彼女が鉄道によりポーランドのアウシュヴィッツへと強制送還されたという事実から、ドイツでは疑問の声が上がっている。

 

アンネ・フランクは、アムステルダムにおける数年にもわたる避難生活の後、1944年に家族と共にゲシュタポによりポーランドのアウシュヴィッツ強制収容所へと送還された。

 

当時10代であったアンネ・フランクは大半の家族と引き離された挙句、ドイツのベルゲン・ベルゼン強制収容所において、戦争が終結する僅か数週間前に息を引き取ったという。

Wikipedia common

「アンネ・フランクの家」の家も懸念

 

アンネ・フランクが隠れ住んでいた家を利用したオランダ・アムステルダムの博物館「アンネ・フランクの家」はこれに関し、「このような取り組みは、善意によるものであると理解している」と前置きしたうえで、「このネーミングが物議を醸している理由は容易に理解出来る」と懸念を表明している。

 

「アンネ・フランクの家」は、「アンネの名をドイツ鉄道の名に冠するということは、ユダヤ人虐殺が行われた時代に、彼らが鉄道によって強制送還されたという事実を想起させる」と指摘する。

 

さらに「ユダヤ人と鉄道という組み合わせは、強制送還を経験した人々に苦痛を蘇らせ、迫害の帰結と共に生きることを強いられる人々に新たな苦痛を与える」と痛烈な批判を行っている。

 

ドイツ鉄道はこの問題に関し、アンネ・フランクの名を冠することは最も頻繁に行われる提案の一つであり、さらにこの計画を公表する前には2人の歴史家を含む陪審員を交え、全ての案について検討を行ったと弁解している。(了)

 

出典元:The Local:Controversy, as Deutsche Bahn plans to name train after Anne Frank(10/30)

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