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環境保護団体がルーヴル美術館の床に寝そべり抗議、その意外な理由とは?

環境保護団体がルーヴル美術館の床に寝そべり抗議、その意外な理由とは?
Emmanuelle Thiercelin

パリのルーブル美術館で12日、環境保護団体が床に寝そべり環境保護を訴えるも、美術館側から追い出されていたことがわかった。

 

「メデューズ号の筏」の前で真っ黒な服を着て寝そべる

 

この珍事が発生したのは、ルーブル美術館の数多くある部屋の中でも最も人気を誇る、「メデューズ号の筏」が所蔵された部屋。

 

「メデューズ号の筏」は19世紀にテオドール・ジェリコーによって描かれた油彩画で、フランス海軍のフリゲート艦メデューズ号が難破した際の様子を描いたもの。

 

活動家らはこの絵の前の床に真っ黒な服を纏って寝そべり、抗議活動を行ったという。

 

一方、ルーブル美術館は抗議活動が開始されてからわずか10分後には活動家らを追い出したとしている。

 

Emmanuelle Thiercelin

 

昨年には「サモトラケのニケ」の前で抗議

 

今回この奇妙な抗議活動により注目を集めることとなったのは、「Libérons le Louvre」という団体。

 

再生可能エネルギーの利用を支持する同団体は、今回の活動は“石油産業の犠牲を象徴させる”ものであるとして、化石燃料の利用に異議を唱えた。

 

一方、同団体は昨年3月にもルーブル美術館で抗議活動を決行。

 

この際には古代ギリシャの彫像として有名な「サモトラケのニケ」の前で活動を行ったという。

 

 

あえてルーブル美術館で抗議を行うのには理由が

 

しかしLibérons le Louvreがルーブル美術館で抗議活動を行うのには理由がある。

 

ルーブル美術館は2000年代より、フランスの一大石油企業として知られるTotalと提携。

 

2004年に行われた「ギャラリー・デ・アポロン」と呼ばれる部屋の復元においても、同社からの資金提供を受けていたという。

 

 

しかし両者の提携はフランスにおいても一般にはあまり知られていないとのことだ。

 

Libérons le Louvreは今回抗議活動を行う場として「メデューズ号の筏」の前を選んだ理由について、化石燃料の使用が気候の変化をもたらし、海面上昇や他の環境危機をも引き起こすことを示すため、難破船を描いた同作品の前がふさわしいと判断したとしている。

 

 

また同団体に所属する一人、Clémence Duboisさんは「Totalはフランスにおける主要な化石燃料企業の一つであり、同社との提携はルーブルの評判を貶めている」と指摘。

 

「我々は今回の抗議活動をジョークや人々を楽しませるために行ったわけではなく、ルーブル美術館に世界で最も巨大な文化機関の一つとしての自覚を持ち、責任を持ってもらうのが目的だ」

 

ルーブル美術館が石油産業と提携していたというのは驚きに値するが、同美術館が文化機関としての自覚を持って石油産業との提携を取りやめる日は来るのだろうか。(了)

 

出典:The Local France :Paris: Black-clad protesters prompt partial evacuation of Louvre(3/12)

出典:Hyperallergic:Activists Pressure Louvre to Drop Oil Company Sponsorship with Die-in(3/13)

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