投与され始めた新型コロナ・ワクチン、各国の接種時期や状況は?
12月8日、イギリスでは米ファイザー社などの新型コロナ・ワクチンの接種が始められ、最初に90歳の女性に投与された。
そして実は他の国でも、ワクチン接種の準備が進められている。各国の状況はどうなのか?
カナダ
カナダでは12月末前には、「ファイザー」の新型コロナ・ワクチンの接種を始めるという。そして来年の始めにかけて、数百万人が接種することになるそうだ。
カナダでは3月末までに、「ファイザー」と「モデルナ」のワクチン、600万回分を確保している。
しかしトルドー首相は12月末までに「ファイザー」のワクチン、24万9000回分が運ばれ、さらに2021年の初めから300万回分のワクチンが届く予定だと述べている。(またすでに、規制当局が認可したとの報道もある)
最も人口の多いオンタリオ州は月曜日に、医療従事者とスタッフ、長期療養所の居住者と職員、および先住民コミュニティの成人への予防接種を優先すると発表。ケベック州も来週4000回のワクチンを受け取り、ナーシングホームの住民への予防接種を開始すると述べている。
ドイツ
ドイツでも来年1月の「最初の数日間」から、新型コロナ・ワクチンの接種開始を予定しているという。
EU当局は、ワクチンの承認に関して、12月29日までに決定する見通しとなっている。
現在、ドイツでは新型コロナの感染拡大が続いており、感染者数も減少していない。ただすでにドイツでは、大規模なワクチン接種センターの準備を進めているそうだ。
ブラジル
ブラジルでは、人口の最も多いサンパウロで、来年の1月25日からワクチンの接種を開始する計画だとされている。
サンパウロでは中国のSinovac社の新型コロナ・ワクチンを使用する予定だが、まだ保健規制当局「Anvisa」の認可が下りていない。
またボルソナロ大統領は以前から中国に批判的で、このワクチンに対しても安全面の信頼が欠如していると述べ、地元の州知事とも激しく対立してきた。
しかし安全性が確認された後は、ワクチンが承認され次第に無料で接種が行われることになる、と述べたという。
アメリカ
アメリカでは今週、「ファイザー」や「モデルナ」の緊急承認について、米食品医薬品局が審査を始めた。
トランプ大統領は承認されれば、24時間から36時間後にはワクチン接種が開始されると述べていたが、国民に広く行き渡るのは来年の春の見通しとされている。
米疾病予防管理センターによれば、医療従事者や高齢者施設の患者などから優先的に、ワクチンが接種されていく予定だという。
そして現在の推定では、今年の末までに、合計で4000万回分のワクチンが人々に投与される予定だとされている。
ロシア
ロシアは「スプートニクV」と呼ばれるワクチンを、12月7日に極東のザバイカリエ地方に配属された兵士らに投与。今週末からはモスクワでの接種も開始され、その後は国内に行き渡るよう輸送を始めるそうだ。
「スプートニクV」はマイナス18℃での保管する必要があるため、冷凍庫のあるミニバンで運搬されることになる。
しかし専門家の中には、このワクチンの第3相臨床試験が終わっていないと批判している人もいるとか。
インドネシア
インドネシアでは12月6日、中国のSinovac社製の新型コロナ・ワクチン120万回分を受け取っており、来年には180万回分のワクチンと450万回分を生産できる「原材料」が提供される予定となっている。
ただし「CoronaVac」と知られるワクチンは、まだ規制当局からの承認が下りていない。
またインドネシアの中でも最初にワクチン接種が行われるのが、バリ島だという。これは来年の1月までにこのエリアを安全な「グリーン・ゾーン」にすることを目的にしているそうだ。
中国
中国の外相は先週、国連の会議で、ワクチンの開発者たちは最終テストをスピードアップしていると述べたという。
ただ最終的な承認がなくても、感染のリスクが高いとみなされる100万人以上の医療従事者やその他の人々は、緊急使用許可の下で、すでにSinovac社とSinopharm社から実験的ワクチンを受け取っている。
開発者は、ワクチンがどれほど効果的であるかをまだ明らかにしておらず、起こりうる副作用についての詳細も明らかにしていない。
しかし、中国では4つの企業が作った少なくとも5つのワクチンがあり、ロシア、エジプト、メキシコを含む12か国以上でテストされているという。(了)
出典元:ABC net:Canada, Brazil, Germany, United States and Indonesia prepare to follow UK in rolling out COVID-19 vaccines(12/9)