イラン情報当局がアカウントを削除させるため、インスタの審査官に賄賂を提供か
インスタグラムのコンテンツ・モデレーター(審査官)らが、イラン政府から賄賂を渡されたと告白している。
現役と元モデレーターが告白
今回、告白したのはイランでインスタグラムのコンテンツを審査している現役のモデレーターと、元モデレーターの2人だという。
彼らはイランの情報当局から、ジャーナリストや活動家のインスタグラムアカウントを削除するよう求められ、金銭を提供されたと述べている。
そのうちの1人のモデレーターは取材に対し、「私は、アカウントを削除するために5000〜1万ユーロ(約68万円から約136万円)を提供されました。マシ・アリネジャドさん(のアカウント)を削除した後でした」と語っている。
マシ・アリネジャドさんはイラン系アメリカ人の作家であり、ジャーナリスト及び活動家だ。また昨年、米司法省はイラン当局が、ニューヨーク在住の彼女を第三国に誘い込み、誘拐しようとしたと明らかにしている。
イラン人モデレーターが政権寄り?
また2人のモデレーターは、投稿を審査する際に、一部のイラン人モデレーターまで「政権寄り」の行動を示していると告白したという。
実際、イランのインスタグラム利用者の多くが、最近の反政府デモに関する投稿が削除されたと不満を漏らしているそうだ。
一方、インスタグラムの所有者である「Meta」と、同社がコンテンツの審査に利用している第三者企業は、この主張に正当性はないと述べている。
反政府のアカウントも制限を受ける
今月初め、イラン政府が基本的な食料品への補助金を削減し、物価が高騰したため、いくつかの地方で抗議デモが発生した。
治安部隊はデモを激しく取り締まり、未確認の報告では、少なくとも5人が死亡したという。
しかしイランの国営メディアでは、この抗議デモをほとんど報道していない。つまりイラン人は現場で何が起こっているかを知るために、インスタグラムやその他のソーシャルメディアサイトに頼らざるを得なかったようだ。
にもかかわらず騒動が続く中、ユーザーはインスタグラムに投稿された一部の動画が削除されていることに気づき、反政府の活動家が運営する人気アカウント「1500tasvir」(「1500images」)も、5月26日にアカウントが制限されたという。
「1500tasvir」はこの動きを「信じられない」とし、「インスタグラムはイランの独裁者の利益のために行動している」と非難している。(了)
出展元:BBC:Instagram moderators say Iran offered them bribes to remove accounts(5/27)