ウクライナ大統領顧問、ヘルソン市で「最も激しい戦いが待っている」と警告
ウクライナの高官は先日、南部ヘルソン州の州都・ヘルソン市での戦いが非常に激しくなる、との見方を示した。
「作戦はハルキウ州よりも困難」
ウクライナの大統領顧問であるオレクシー・アレストビッチ氏は10月25日、ロシア軍がヘルソン市を放棄する準備をしている兆候はないとし、次のように述べたという。
「ロシア軍はヘルソン(市)に兵力を補充し、部隊を強化している。つまり、誰も撤退の準備をしていないのです。それどころか、最も激しい戦いがヘルソンで行われることになるだろう」
一方、ウクライナのオレクシー・レズニコフ国防相は記者会見で、南部ヘルソン地域での反攻作戦は、北東部ハルキウ州よりも困難になるとし、その理由を次のように述べた。
「まず、ウクライナ南部は農業地帯で、灌漑や給水路がたくさんあるが、ロシアはそれを塹壕のように使っています。第二の理由は気象条件です。今は雨季で、車輪のついた戦闘用運搬車を使うのは非常に難しい。これがウクライナ軍の選択肢を減らすことになった」
すでに7万人の住民が東岸へ移動
親ウクライナ派でヘルソン地方議会議員のユーリ・ソボレフスキー氏によれば、ロシア側のヘルソン当局は、住民に退去するよう圧力を強めているという。
これを裏付けるように、ロシアが任命したヘルソンの州知事はメディアに対し、すでに約7万人の市民がドニプロ川の西岸から東岸に移転したと明らかにした。
しかも住民の中には、ロシア南部などに移転させられた者もおり、ウクライナ側はこれを「避難」ではなく、「強制移住」だとして非難。実際にジュネーブ条約でも、占領地での市民の強制移住は戦争犯罪とされている。
またウクライナのメディアによれば、北東部のハリキウ州では、ロシア軍から解放された町で、新たに民間人や子どもを含む約1000体の遺体が掘り起こされたという。
4州の「資産」を将来ロシア企業へ移管
一方、ロシア側は、併合したと主張しているウクライナ南部4州の「資産」について、将来的にロシア企業に移管される可能性があると述べた。
ロシア政府のドミトリー・ペスコフ報道官は、「放棄された資産」を放置できないことは明らかであり、政府はこの問題に対処すると述べている。
しかしすでに国連総会では、圧倒的多数の国々が、ロシアによるウクライナ4州の併合は違法だと非難している。
アフガンの国軍兵士を募集か?
またロシアのショイグ国防相は、インドおよび中国の担当者と電話会談を行い、ウクライナによる「ダーティボム(汚い爆弾)」使用の可能性についてロシアの懸念を表明したという。
しかしインドのラジナス・シン国防相は、ショイグ氏に対し「核兵器は戦争でどの側にも使用されるべきではない」と伝えたそうだ。
さらにメディア「Foreign Policy」によれば、ロシア軍はウクライナで戦うために、アフガニスタンの国軍コマンド部隊のメンバーを募集しているという。
この部隊は、アメリカ軍の海兵隊やイギリス軍に訓練された兵士らで、2021年8月にタリバンがアフガニスタンを支配下に置いた時、約2万から3万人の国軍兵士が取り残されたと言われている。
「非ナチ化」から「非サタン化」へ変更
ロシア側はウクライナ侵攻を、別な言葉で正当化し始めている。プーチン大統領は当初、この戦争の目的がウクライナの「非ナチ化」だと主張していた。
しかし10月26日には、ロシア連邦安全保障理事会のアレクセイ・パブロフ氏が、戦争の目的をウクライナの「非ナチ化」ではなく、「非サタン化」だと主張したという。
パブロフ氏はその理由について、「ウクライナの市民は正教会の価値を捨て、(国内には)数百のセクト(カルト宗教)がある」と述べている。(了)
出典元:The Guardian:Putin watches Russian nuclear drills; 1,000 bodies exhumed in Kharkiv oblast, reports say – as it happened(10/26)