ウクライナ軍が、黒海にある海上掘削施設をロシア軍から奪還
ウクライナ軍が、海上にある油田・ガスの掘削プラットフォームを奪還したと発表した。
2015年からロシアに占拠されてきた
ウクライナ国防省情報総局(GUR)は9月11日、テレグラムの声明において、クリミアに近いガスと石油の海上掘削プラットフォームをロシア軍から奪還したと発表した。
この掘削施設は、「ボイコ・タワーズ」と呼ばれており、2014年にクリミアを占領・併合したロシアにより、2015年から占拠されてきたという。
また2022年2月にロシア軍がウクライナへの本格的な侵攻を開始して以来、ロシアによって軍事目的で使用されてきたそうだ。GURは声明で、次のように述べている。
「ウクライナにとって、ボイコ・タワーズの支配権を取り戻すことは戦略的に重要であり、その結果、ロシアは軍事目的で使用する能力を失った。ロシアは黒海の水域を完全に支配する能力を奪われ、これによりウクライナはクリミア奪還に何歩も近づいた」
Ukraine has regained control over the so-called “Boyko Towers” – Defense Intelligence of Ukraine.
“Boyko Towers” are gas and oil drilling platforms off the coast of occupied Crimea in the Black Sea. Russia occupied them in 2015 and used them for military purposes when the… pic.twitter.com/11h27ysI03
— Anton Gerashchenko (@Gerashchenko_en) September 11, 2023
「貴重な戦利品」も捕獲
GURによれば、この奪還作戦中、ボートに乗ったウクライナの特殊部隊とロシア軍の戦闘機との間で交戦があり、戦闘機は損傷を受けて後退を余儀なくされたという。
またウクライナ軍は、この作戦の成功により、ヘリコプターの弾薬や、黒海の船舶の動きを追跡できるレーダーシステムなどの「貴重な戦利品」も捕獲したそうだ。
そもそもロシアがクリミア半島を占領する前、ウクライナは黒海から天然ガスのかなりの部分を採掘し、クリミア半島だけでなくウクライナ本土にもガスを供給していたと言われている。
ウクライナ軍の被害を強調
もっともロシア国防省は、ウクライナ軍の主張について、まだコメントを発表していない。
ただここ数週間、ロシア軍機がこの海域で、ウクライナ軍のスピードボートを数隻破壊したと主張している。
またロシアの軍事ブロガーは、このプラットフォームは1年以上無人だったと主張。その上で、先月ウクライナの部隊がクリミア半島で行った上陸作戦は、永続的な軍事的プレゼンスにつながらず、ウクライナにとって大きな犠牲を払った、と投稿している。
米が長距離ミサイルの供与間近か
一方、アメリカのバイデン政権が、ウクライナへクラスター爆弾と共に、長距離ミサイルの供与を間もなく承認するとの見方が出ている。
まだ正式に決定されてはいないが、この長距離ミサイルは、ウクライナが以前から要望していた、射程300kmの「ATACMS(エイタクムス)」と考えられている。
さらにウクライナのゼレンスキー大統領は、キーウを訪問したドイツのアンナレーナ・ベアボック外相との会談後、「タウルス・ミサイルの供与について、ドイツでの決定プロセスが前進している」と述べた。
「タウルス」は射程距離500kmに及ぶ空中発射型長距離巡航ミサイルで、以前からウクライナはドイツに供与を要請していた。(了)
出典元:The Guardian:Ukraine regains control of strategic Black Sea oil rigs, intelligence service says(9/12)
出典元:The Guardian:Russia-Ukraine war: G7 condemns ‘sham elections’ held by Russia on Ukrainian territory – as it happened(9/12)