ガザ地区の配給センターでイスラエル兵が人々に向けて銃撃、20人が負傷

ガザ地区中部に新たに設置された「ガザ人道財団」の配給センターで、イスラエル兵が支援物資を求めるパレスチナ人に向けて銃撃を行った。
「国境なき医師団」が批判
その配給センターは、ガザ地区の中央部、南北に2分する「ネツァリム回廊」付近に設置され、南部のラファにある2つのセンターに続き、3カ所目になるという。
しかし5月30日、その配給センターに向かっていたパレスチナ人に対し、イスラエル兵が発砲。少なくとも20人が負傷した。
「ガザ人道財団」の配給センターについては問題が指摘されており、「国境なき医師団」のChristopher Lockyear事務総長も、「支援を道具化しようとする米・イスラエルの計画には効果がない」とし、次のように批判した。
「この危険で無謀なやり方では、食糧が最も必要とされる場所に配給されず、イスラエル軍が民間人を集めさせようと選んだ地域にのみ送られている。これは、最も脆弱な人々、特に高齢者や障がい者が、切実に必要としている食糧にアクセスする機会が実質的にないことを意味する」
イスラエル側は、この方法により「ハマス」に物資が流れることを防げると主張しているが、Lockyear事務総長はそれが誤りだと指摘し、「この取り組みは、国際人道法の遵守を装うための、皮肉な策略に過ぎない」と述べたという。
Chaos continues at Gaza’s controversial aid centres, as desperate Palestinians struggle to survive Israel’s campaign of deliberate starvation, with several killed by Israeli gunfire. pic.twitter.com/yQxREJGhte
— Al Jazeera English (@AJEnglish) May 29, 2025
「20分ごとに1人の子供が死んでいる」
イスラエル軍は5月30日、ガザ地区北部に対し、新たな強制避難命令を発令。その後、激しい攻撃を加えたそうだ。下の動画は、ガザ市にあるTuffah地区での空爆の様子。
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Israeli air attacks hit homes in Gaza City on Friday, forcing families to flee through smoke and rubble.
The attack came as Hamas is reviewing a new US-backed ceasefire proposal but says that its current terms would result in “the continuation of killing and famine” in Gaza. pic.twitter.com/Lckw9OdtlH
— Al Jazeera English (@AJEnglish) May 30, 2025
ガザ地区北部のジャバリアでも、イスラエル軍により難民キャンプが空爆され、少なくとも2人が死亡したという。
ガザ地区中部のDeir el-Balahでも、空爆で2人のパレスチナ人が死亡、数人が負傷。南部のハンユニス東部でも、避難していた人々のテントが空爆され、少なくとも14人が死亡した。ガザ地区全域では5月30日の夜明け以降、30人以上の死亡が確認されている。
国連児童基金(ユニセフ)は、2023年10月以来、イスラエルによる攻撃でガザ地区では5万人以上のパレスチナ人の子供が殺害され、または負傷したとし、「X」へ投稿した動画の中で、「20分ごとに1人の子供(が死んでいる)」と訴えた。
More than 50,000 children reportedly killed or injured in #Gaza since October 2023.
One child, every 20 minutes.Grave violations. Blocked aid. Starvation.
Homes, schools, hospitals — destroyed.
This is the destruction of childhood. Of life itself.These are children. Not… pic.twitter.com/F23RYhsg8R
— UNICEF MENA – يونيسف الشرق الأوسط وشمال إفريقيا (@UNICEFmena) May 30, 2025
トランプ氏、停戦合意が「非常に近い」
停戦協議の行方だが、アメリカのトランプ大統領は5月30日、ガザ地区での「ハマス」との停戦合意が「非常に近い」と発言。記者団に対して、「合意の可能性はある」と述べ、「本日遅くか、もしかしたら明日(5月31日)にも発表するだろう」との見方を示した。
「ハマス」側も30日、声明を発表し、「トランプ政権のスティーブ・ウィトコフ中東特使が提示した暫定停戦案について、ガザ地区のパレスチナ人団体や派閥と協議中だ」と述べた。
ただこの声明に先立ち、パレスチナ人団体の関係者は、「現在の形での停戦案では、ガザ地区における殺戮と飢餓の継続につながるだけだ」と発言していたという。
マクロン大統領がイスラエルに警告
フランスのマクロン大統領は5月30日、訪問中のシンガポールで、ガザ地区のパレスチナ人が飢餓の深刻な危機に直面している中、国際社会は傍観者でいることはできない、と発言。
ネタニヤフ政権がガザ地区の人道危機に対応しなければ、イスラエルに対して「制裁を科す」可能性があると警告した。
またスペインのバルセロナ市議会は30日、国際法違反とパレスチナ人の権利侵害を理由に、イスラエル政府との制度的関係を断絶し、テルアビブ市との友好協定を停止することを決議したという。
ガザ地区への支援物資の搬入は現在も滞っており、30日には、イスラエル人の入植者によって支援物資を積んだトラックがブロックされる様子が投稿された。
בשעה זו פעילי תנועת צו 9 ובני משפחות חטופים חוסמים את משאיות הסיוע לחמאס סמוך למעבר כרם שלום.
“משאיות הסיוע נחסמות ע”י אזרחים אוהבי העם שבאו לכאן מכל חלקי הארץ ביום ה602 למלחמה בזמן ש58 חטופים נאנקים ולא מקבלים סיוע, זה הולך להגיע לחמאס” pic.twitter.com/FV5uZs2Qfm
— ישראל כהן (@Israelcohen911) May 30, 2025
上の動画は、カレム・アブ・サレム(ケレム・シャローム)国境検問所付近で撮影されたとみられ、トラックの通行を阻止しているのは、人質の家族や活動家からなる団体「Tzav 9」のメンバーと考えられている。(了)
出典元:Aljazeera:LIVE: UN says everyone in Gaza facing famine as Israel attacks aid seekers(5/30)