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レーザーで電力を運ぶシステム、米軍が実験で新記録を樹立

レーザーで電力を運ぶシステム、米軍が実験で新記録を樹立
DARPA

アメリカ軍は、大量の電力を運ぶレーザーをかなり遠くまで照射し、ワイヤレス電力伝送の新記録を樹立した。

 

800ワット以上の電力を8.6kmへ伝送

 

この実験は、アメリカ軍の国防高等研究計画局(DARPA)により、「Persistent Optical Wireless Energy Relay (POWER:持続光無線エネルギー中継) 」と呼ばれるプログラムの一環として行われたという。

 

ワイヤレス電力伝送とは、有線なしで電力を遠隔地に送る試みで、これまでも「POWERプログラム」では、230ワットの電力をレーザーで約1.7kmの場所に25秒間照射し、さらに少量の電力を3.7kmまで運ぶことに成功していたそうだ。

 

しかし今回、実験では800ワット以上の電力を運ぶレーザーを8.6kmの距離に照射し、実際に電力が伝送され、新記録を樹立した。

 

すでに1901年にはコンセプトがあった

 

ワイヤレス電力伝送(WPT)のコンセプトは以前から注目されており、1901年には、ニコラ・テスラという人物が、ニューヨーク州ロングアイランドに高さ57mのタワーの建設を開始したという。

 

テスラ氏は、このタワーが世界中に電力を送る「世界ワイヤレス(電力)システム」の拠点となることを目指していたが、資金が枯渇し、構想は実現しなかったそうだ。

 

しかしながら、このコンセプトへの関心は近年、軍事用途と宇宙太陽光発電の両方で高まっている。

 

宇宙太陽光発電とは、地表の10倍とされる宇宙空間での太陽光エネルギーを収集・伝送する、まだ発展途上の技術だ。

 

また軍事作戦にもエネルギーは不可欠だが、エネルギーを必要な戦場や被災地に届けるには、時間がかかり、リスクが高く、多くの資源や大量の燃料を消費してしまう。

 

しかし今回の実験の成功により、容易に発電できる場所から必要な場所へ、瞬時に電力を伝送するプログラムへの重要な一歩になったという。

 

DARPA

実験ではポップコーンを作る

 

今回の実験は、ニューメキシコ州にある米陸軍ホワイトサンズ・ミサイル実験場で行われ、30秒間のパルスで約8.6kmの距離に電力が伝送されたそうだ。

 

そしてレーザービームは受信機に到達した後、小さな開口部を通過し、放物面鏡で反射して内部の太陽電池に照射されたという。

 

電力は約20%の効率で伝送され、その一部はポップコーンを作ることに使用されたそうだ。

 

研究者たちは、無人航空機(UAV)への電力供給への活用を考えており、今後は複数の中継機器を繋げた実験や、または大気が薄く、伝送効率が高い垂直方向への電力伝送試験に移行する予定だという。(了)

 

出典元:Livescience:DARPA smashes wireless power record, beaming energy more than 5 miles away — and uses it to make popcorn(6/20)

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