使用後は堆肥に!スターバックスが環境に優しい新たなカップの試験的導入を発表
これまでにもプラスチックストローの廃止など、地球環境に向き合う企業として知られてきたスターバックス。
そんな同社が今度は、堆肥にすることができる環境に優しいカップの試験的導入を発表した。
堆肥化可能なカップ、世界5地点で既に試験的導入
スターバックスがこのニュースを発表したのは、今月20日に行われた株主総会でのこと。
これによると、同社は既に米国のニューヨーク、サンフランシスコ、シアトルとカナダのバンクーバー、そして英国のロンドンの5つの地点で、堆肥にすることが可能なカップを試験的に導入しているとのことだ。
新たなカップの見た目は、現在世界のスターバックスで導入されている紙製のカップと何ら変わらぬものであるという。
一方、試験的に導入されているカップと従来のものとの違いは、その内側にある。
従来のカップでは内側にプラスチック製の遮水シートが張られていたが、新たなものではその代わりとして微生物による分解が可能な生分解性の素材を用いるという。
この生分解可能な遮水シートはタイに拠点を置く会社が開発したものとのこと。これをプラスチック製の遮水シートの代わりに用いることで、カップは特殊な施設において堆肥化することが可能となるという。
他方で従来のカップも、技術的にはリサイクル可能なものだ。
ただプラスチック製の遮水シートを取り除かないまま、カップを機械によってリサイクルしようとすると、うまくいかない可能性がある。
そのため従来のカップをリサイクルするためには、プラスチック製の遮水シートを本体の紙製カップから取り除かなくてはならず、リサイクルを手掛ける業者にとって手間がかかるとのことで、これまでのスターバックスにおいては実施されてこなかったようだ。
カップのアイデアはクラウドソーシングから
このような地球環境に優しいカップの開発には、スターバックスは約30年にもわたり試行錯誤を重ねてきた。
スターバックスのこのような試みとして知られるもので最も最近のものとしては、昨年同社は他の食品会社などと共に、環境に優しいカップのアイデアをクラウドソーシングで募る「NextGen Cup Challenge」に参加。
今回試験的に導入されているカップは、この際に優秀作として選ばれたアイデアを反映させたものとなっているようだ。
これについてスターバックスのCEOケヴィン・ジョンソン氏は「地球の持続可能性を助けるため、我々は指導的役割を担いたい。またそれは我々のコーヒーを持続可能なパッケージで出すということを意味する」と意気込む。
計画実現に避けて通れぬ消費者行動の変化
一方、持続可能性をスターバックスが追求する上で、避けて通れないのが利用者の行動を変化させるということだ。
スターバックスでリサイクルを行うためには、利用者が専用のゴミ箱へとカップを持って行くことが必須となっており、消費者に変化を促すということがこの計画における大きな課題となっている。
これについてグローバルに活動を展開する環境保全NGO団体「Greenpeace」でプラスチックに関するキャンペーンに携わるKate Melges氏は、声明文においてプラスチックの利用を削減することが重要である一方、スターバックスの企業努力だけではプラスチック汚染問題の解決にはならないことを指摘。
“パッケージが工業設備においてリサイクル可能、または堆肥にすることが可能であるというだけでは、それがリサイクルされたり堆肥にされたりすることを意味するわけではない”とし、スターバックスの利用者も協力する必要があることを暗に訴えている。
これまでにもスターバックスでは、マグカップを持参することでディスカウントを受けることができるサービスを実施してきたが、それが消費者の間に浸透することはなかったという。
ちなみにスターバックスは今回カップのみならず、従来のものよりも9%少ないプラスチックを利用したリサイクル可能なカップのふたについても言及している。
地球環境と向き合う姿勢を貫いてきたスターバックス。同社の環境問題への取り組みからはこれからも目が離せなさそうだ。(了)
出典:CNN:Starbucks to test recyclable, compostable cups (3/20)