英の核融合施設で実験成功、発生させたエネルギー量の記録を更新【炉内動画あり】
イギリスの施設で核融合の実験が行われ、2月9日には、これまでで最も多いエネルギー量を発生させることに成功したと発表された。
過去の2倍以上のエネルギー
イングランド・オックスフォードのカルハムにある、欧州合同トーラス共同研究施設(JET)は昨年12月、核融合の実験を行ったという。
そもそも核融合は、現在ある原子力発電所で行われている核分裂反応のように、原子核を分裂させるのではない。
逆に2つの水素(重水素と三重水素)の原子核を強制的に結合させることによって、ヘリウムと中性子、そしてエネルギーが放出されるという原理に基づいている。
そしてこの実験では、5秒間で59メガジュールのエネルギー(11メガワットの電力)を発生させることに成功した。このエネルギー量は、1997年に行われた同様の実験の2倍以上とされている。
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低炭素、低放射能のエネルギー
もっとも、今回発電された量は、決して大きなエネルギー出力ではない。60個分のやかんのお湯を沸騰させる量でしかないという。
しかし太陽内部で起きている核融合が地球上で再現できれば、低炭素、低放射能のエネルギーが無限に供給される可能性がある。
実際に核融合の発電所では、温室効果ガスが発生せず、原子核を分裂させるわけではないため、ごく少量の短い寿命の放射性廃棄物が出るだけだと言われている。
実験施設の責任者であるJoe Milnes博士は、次のように語っている。
「JETの実験によって、核融合発電に一歩近づきました。私たちの装置の中に小さな星を作り、それを5秒間保持することで高い性能を発揮できることを実証したのです」
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フランスの大型炉の妥当性を実証
現在、フランス南部にも大型の核融合実験炉「ITER」の建設が進められており、核融合が今世紀後半に信頼できるエネルギー供給源となりうることを証明する最後のステップとなることが期待されている。
そして今回の実験の成功により、「ITER」での設計方針の妥当性を実証することができたという。
専門家のArthur Turrell博士は次のように述べている。
「5秒間のプラズマの安定性を実証したことは画期的なことです。原子核の時間スケールで考えると、これは非常に長い時間です。そして5秒から5分、5時間、あるいはもっと長い時間にするのはとても簡単なことなのです」(了)
※さらに詳しくはBBCジャパンのページをご覧いただきたい。
出典元:BBC:Major breakthrough on nuclear fusion energy(2/9)