地下鉄に偶然乗り合わせたNY市民が、協力して「カギ十字」の落書きを消し話題に
人種や宗教的な対立が深まるアメリカで、ニューヨークの地下鉄に書かれていた「鉤十字(ハーケンクロイツ)」などの落書きを、乗客らが協力して消し、話題となっている。
●車両に差別的な言葉が書かれていた
ニューヨークで弁護士をしているGregory LockeさんがCNNの取材で語ったところによると、それは先週土曜日の夜、住宅地区へ向かうため50丁目駅から地下鉄に乗り込んだ時のことだという。
Lockeさんは地下鉄のドアが閉まって初めて車両中の窓や広告などに、ハーケンクロイツとともに「ハイルヒトラー!」「イスラムを破壊しろ!」といった落書きが油性のマジックで描かれているのに気づいたそうだ。
静まり返り、皆が顔を合わせ、居心地の悪さと不安に包まれた車内。
その時、1人の乗客が立ち上がり「ハンド消毒液なら油性のマジックを消せる。アルコールが必要だ」と声を上げたとされている。
●皆が消毒液を探し、消し始める
立ち上がった男性とは、マンハッタンのレストランでシェフをしているJared Niedさん。
彼によればその後、車両にいた女性たちが落書きを眺めながら彼を見つめ、本当にできるのかと尋ねた後、ティッシュを提供してくれたという。
その作戦が上手くいった途端、他の乗客らも消毒液を見つけようと、一斉にポケットやバッグの中を探り始め、ついに皆で落書きを消し始めたそうだ。
そして作業は約2分で完了。落書きが消えた後、皆満足した表情を浮かべていたとされている。
●42万人以上にシェアされる
その後、Lockeさんは当時の様子をフェイスブックで公開。「皆がこのように一体となるのを見て、とても気分が高揚した」と取材でも振り返っている。
やがて彼の投稿は42万人以上にシェアされ、クリントン元大統領の娘、チェルシー・クリントンさんも気づき、称えるツイートを行ったという。
●誰かが鉤十字を「LOVE」に変える
またこれとは別にニューヨーク州のAndrew Cuomo知事も2月6日に、地下鉄の落書きに関するツイートを行っている。
その写真には、ハーケンクロイツの落書きが誰かによって、「LOVE」サインに変えられた様子が写っていた。
This is what New Yorkers do – we turn hate into love. And we wont back down -not now, not ever. #TurnHateIntoLove pic.twitter.com/yVEsTY2aGc
— Andrew Cuomo (@NYGovCuomo) February 5, 2017
その後、Cuomo知事はこの写真について声明で次のように述べている。
「これがニューヨーカーのすべきことだ。我々は憎悪を愛に変える。これが我が国に向けた、そして世界に向けた私たちのメッセージだ。私たちは敗北を認めない、今も、そしてこれからも」
出展元:CNN:New Yorkers unite to scrub hateful graffiti from subway(2/5)
出展元:abc7:New Yorkers come together to remove swastikas inside subway car on Upper West Side(2/4)