孤児のアライグマに生存技術を教える「ブートキャンプ」 野生復帰を目指して特訓、卒業式へ

米・ミシシッピ州の野生動物保護施設で、病気やケガをした子供のアライグマに、野生で生き抜くための技術を身につけさせる取り組みが行われている。「アライグマのブートキャンプ」とも呼ばれる取り組みを紹介する。
母親に代わって野生で必要な行動を教える
ブートキャンプを運営しているのは、ミシシッピ州パス・クリスチャンにある「ウッドサイド・ワイルドライフ・レスキュー(Woodside Wildlife Rescue)」だ。
保護される子供の多くは、嵐や交通事故などによって母親を失ったり、母親とはぐれたりした個体である。施設では、こうしたアライグマが母親から学ぶはずだったことを、人間が手助けして教え、ミシシッピ州南部の自然の中で生きていけるよう支援している。
助けを必要とするアライグマを見つけた場合、市の動物管理当局や住民が創設者のポーラ・ウッドサイドさんや施設責任者のラケル・プリーストさんに連絡する。母親が見つかれば再会させ、難しい場合は施設へ連れて行く。
特に幼いアライグマは、まず数週間を主に屋内で過ごし、リハビリ担当者から哺乳瓶でミルクを与えられる。
▼アライグマ幼稚園の様子
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▼ミルクを楽しむアライグマ
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掘る、泳ぐ、狩る――生き抜くための実地訓練
8ヘクタールほどある施設の敷地には草地や森林、池や川があり、スタッフはこの環境を活用して幼獣を訓練している。
▼訓練の成果を見せつけるアライグマ
スタッフは土の中にミミズを隠して餌の探し方を教えるほか、松ぼっくりやドングリを割って中の種を見せるなど、実演を通じて採食行動を学ばせている。危険を知らせるアライグマの鳴き声を模した音を出して木へ避難する行動を教え、安全を知らせるための短い笛の合図も使っている。
▼上手に木に登るアライグマ
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また、浅い水場では魚を捕まえる練習を行い、生きたウズラを使った狩猟訓練も実施。さらに池では泳ぎを学ばせており、ハリケーンの影響を受けやすいミシシッピ州南部では重要な技能だとされている。スタッフはカヤックに乗り、幼獣たちに池を往復して泳ぐよう促している。
森林では、猛禽類から身を隠したり、ヘビなど地上の危険から素早く逃げたりするため、木から木へ移動する訓練も行われている。施設側は、こうした能力の一部は野生でも身につけられるとしながらも、訓練によって生存する可能性を高めたいとしている。
最後の授業は「人間を避けること」
放野前の最終段階では、ポーラさんやラケルさんではないボランティアがアライグマを罠で捕獲する。あえてアライグマを怖がらせることで、人間や罠を避ける行動を促している。ラケルさんによると、幼獣が成長するにつれて、人間の保護者から自然に離れていくようになるという。
保護からおよそ6カ月が経過し、放野の準備が整うと、開かれるのが卒業式だ。それぞれの幼獣の名前が読み上げられ、牧師による祝福を受けてから、施設内にある森林エリアの別の区画へ放される。
一方、保護中に死亡したアライグマについても別の式典が行われ、スタッフは遺灰をまいて弔っている。
楽しいだけの活動ではない
ポーラさんが保護活動を始めたのは、アメリカの商船員時代に船上で見つかった、子供のアライグマのリハビリを手伝ったのがきっかけだ。2019年に施設を開設し、施設では毎年数十匹の子供のアライグマを育てている。このほか、地域に生息する別の野生動物も保護している。
かわいらしいアライグマたちだが、恐怖から身を守ろうとするアライグマに引っかかれて傷を負うこともあるという。また、救えなかった場合には精神的な傷も残るとポーラさんは語っている。(了)
出典元:AP通信:A raccoon boot camp in Mississippi teaches abandoned kits survival skills(9/21)


























