新たな研究により、ミツバチだけを殺さない殺虫剤の開発が現実へ

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自然界の植物の受粉を助け、人間の生産活動にも大きな影響を与えているミツバチ。

 

それを殺さずに有害な虫だけを駆除する殺虫剤の研究が進み、開発が現実味を帯びてきたとして注目されている。

 

有益な虫を殺さないための鍵を発見

 

アメリカ、ミシガン州立大学のリリースによれば、同大学の昆虫学部の研究者らは、ハチのように人間にとって有益な虫を殺さず、害虫を駆除する殺虫剤の効果を維持するための鍵を解き明かしたという。

 

この研究は学術誌「Proceedings of the National Academy of Sciences」の今月号において発表され、そこでは分子の微調整によって、これまでの殺虫剤との違いを生み出すことを示したそうだ。

 

ある殺虫成分に対し耐性があるのを突き止める

 

そもそも寄生虫やダニ、昆虫などを抑制する殺虫剤に含まれている「ピレスロイド」という組成物は、電気信号で作動するナトリウム通路を作り上げているタンパク質をターゲットにしているとか。

 

そのタンパク質は筋肉や神経細胞の中で急速に電気信号を送ることに使われており、「ピレスロイド」はそのタンパク質に働きかけ、電気信号によってナトリウム通路を結び、その門が閉じるのを防ぐという。

 

この結果、殺虫剤を浴びせられると神経システムが過剰に刺激を受け、虫は死んでしまうとされている。しかしこれらの殺虫剤は人間や他の哺乳類には同じ影響を及ぼさない。

 

そこでミシガン州立大学の昆虫学者であり、神経生物学者でもあるKe Dong氏は、人間と同じようにマルハナバチに耐性を与える、1つのタンパク質に着目。その結果、「tau-fluvalinate」と呼ばれるピレスロイド系の殺虫剤に対して、マルハナバチが耐性を持つことを突き止めたという。Dong氏はリリースの中で次のように述べている。

 

「初めて私たちはマルハナバチのナトリウム通路にあるユニークな構造的特徴が、tau-fluvalinateによってナトリウム通路を結びつけることを妨げることを示しました。これはハチ以外の虫のナトリウム通路をターゲットにした新しい化学製品を設計する可能性を開くことになります」

Michigan State University

ハチ以外の虫で研究を始める

 

ナトリウム通路は細胞膜を貫く大きな膜貫通型のタンパク質で、2000個以上のアミノ酸残基を持つと言われている。

 

Dong氏は当初、蚊やフルーツ・フライ、ゴキブリ、ダニやノミなど他の虫のナトリウム通路について研究を始め、ピレスロイド系の殺虫剤が効果的に虫を殺すために、どこでナトリウム通路を結んでいるのかを調べたという。

 

Dong氏は「ピレスロイドに耐性を持つ野生の蚊を調べることによって、私たちはどこに着目すべきかについて、可能性のある場所を狭めていくことに役立てられたのです」と語っている。

 

2つの異なった「ピレスロイド」を特定

 

特に以前の研究においても、Dong氏と研究チームは、「ピレスロイド」に対して通路が耐性を持つよう変異しているのを特定していたという。

 

また彼らはカナダのマクマスター大学に所属する、コンピュータモデルの専門家であるBoris Zhorov氏と共同で研究を進めることにより、虫のナトリウム通路を結ぶ、2つの明らかに異なった「ピレスロイド」を特定。

 

さらにピレスロイドに対し異なった反応を示す、人間と虫との間にある分子の違いについても明らかにしたそうだ。

 

この結果、マルハナバチやミツバチが「ピレスロイド」に弱いのに対し、「tau-fluvalinate」と呼ばれる殺虫剤の成分に対しては、ナトリウム通路に耐性のあることが判明。

 

またコンピュータモデルや変異解析によって、マルハナバチのナトリウム通路にある特定のアミノ残基が、選択的毒性に関与していることも明らかになったという。

 

このような殺虫剤が製品化されれば、ミツバチの減少を食い止める画期的なものになるかもしれない。(了)

 

出典元:Michigan State University:REFINING PESTICIDES TO KILL PESTS, NOT BEES(11/21)

 

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