血液凝固阻止剤が、コブラの猛毒に対する解毒薬として有効だと判明
血液の凝固を防ぐ薬が、コブラの毒に対する解毒剤として使用できることが判明した。
細胞組織の壊死、切断の可能性
そもそもコブラに噛まれた場合、通常は点滴で投与される抗毒素を使用して治療し、薬剤は体組織ではなく血流に到達するという。
したがって、抗毒素による治療は、細胞組織の壊死の治療には効果がなく、切断や四肢機能の喪失につながる可能性があるそうだ。
しかも治療には高額な費用もかかり、患者が病院で治療を受けられるようになるまでに、数日かかることもある。
しかし先日、医学誌「Science Translational Medicine」に発表された研究結果によれば、一般的に使用されている血液凝固阻止剤がコブラの毒の解毒薬として使用できることが判明したという。
安全かつ効果的な薬「ヘパリン」
この研究の主著者であるオーストラリア・シドニー大学のティアン・ドゥ氏は、臨床試験が成功すれば、感染組織に直接到達できる血液凝固阻止剤である「ヘパリン」を現場で使用し、おそらく他の薬剤と組み合わせて使用できるだろうと述べている。
またコブラによる咬み傷の治療に、安価で安全かつ効果的な薬として、「ヘパリン」が比較的早く普及する可能性もあるという。
現段階ではヘパリンが、どの程度組織損傷を軽減するのか、は明らかになっていない。しかしドゥ氏は、投与量と薬剤の投与速度次第で、損傷が50%から100%軽減されることを期待していると述べている。
研究者らは今回と同様に、毒が標的にしている遺伝子を特定することで、2019年にもハコクラゲの解毒剤を発見。現在も「オーストラリア・ブラック・スネーク」や「カツオノエボシ」などの解毒剤も探しているという。(了)
出典元:The Guardian:Blood thinner could be used to treat cobra venom, global study suggests(7/18)