メキシコの首都では月に2cmも地盤が沈下、強力なレーダーシステムが観測

メキシコの首都、メキシコシティの一部の地域では、地盤沈下が起きており、レーダーによって観測が続けられている。
衛星「Nisarシステム」
そのレーダーとは、NASAとインド宇宙研究機関(ISRO)の共同プロジェクトで開発された、「Nisarシステム」だ。
これは宇宙に打ち上げられた、史上最も強力な衛星レーダーシステムの1つとされ、大都市の地盤沈下をリアルタイムで観測しているという。
そして「Nisar」は、メキシコシティの主要空港を含む一部の地域で、月2cm以上もの地盤沈下が発生していたことを発見した。月2cmというのは、世界でも有数の速い沈下速度とされている。
沈下の範囲や変化も把握
この衛星は、木々や厚い雲を通してでも、地表の微細な変化を検出でき、レーダー画像観測を新たなレベルへと引き上げているという。
また「Nisar」は、沈下がどの程度広がり、様々な地形によってどのように変化するのかを、他のどの宇宙センサーよりも詳細に把握することを可能にしたそうだ。
さらに都市の沈下だけでなく、火山の研究、地震に伴う地殻変動の研究、地滑りの研究にも役立ち、NASAによると、気候危機や氷河の滑動、農業生産性、土壌水分、林業、沿岸洪水など、さまざまな分野のモニタリングにも活用できるという。
地盤沈下の影響は大都市全体に及ぶ
メキシコシティでの急速な沈下を最も明確に示している例の1つが、市内の主要道路沿いにある独立記念塔だ。
これはメキシコ独立100周年を記念して、1910年に完成された高さ36メートルの記念碑で、周囲の地盤沈下に伴い、基部に14段の階段が追加されたという。
しかしメキシコシティの地盤沈下の影響は、約2200万人が暮らすこの大都市全体に及んでおり、建物の傾き、道路の歪み、地下鉄システムの損傷などが見られるそうだ。
メキシコ国立自治大学(UNAM)のエンジニア、Efraín Ovando Shelley氏は、「これは都市のインフラ全体に影響を与えています。道路、配水管、給水設備、排水管などです」と述べている。
この地盤沈下は、1925年に初めて記録されたが、その原因は地下水の乱用だ。メキシコシティとその周辺地域は、古代の湖底に建設されたため、都市の地下の土壌は非常に軟弱だという。
そして地下水層から水を汲み上げると、粘土質の土壌が圧縮され、都市は静かに沈下していくそうだ。(了)
出典元:The Guardian:Up to 2cm a month: Nasa keeps track as Mexico City sinks into the ground(5/7)
























