今年の世界的猛暑はほんの序章?2022年まで厳しい暑さが続くことが明らかに
今年の夏は北極からアフリカ、アメリカ大陸から日本まで、世界各地が激しい猛暑に襲われることとなった。
ところが最新の研究により、今年の猛暑は今後4年間続く厳しい暑さのほんの始まりに過ぎないことが明らかとなった。
2018年から2022年にかけ高い気温に?
この研究は今月14日、英国のオープンアクセスジャーナル「Nature Communications」で発表されたもの。
研究においては、最新の天気予報技術が用いられたという。
これによると2018年から2022年にかけては、世界中において人間の手によってもたらされた地球温暖化と、自然界の要因が重なり、これまで予測されてきたよりも高い温度になる可能性があるという。
必ずしも酷暑が訪れるわけではない?
一方、研究においては今後2022年までに世界的に平均気温が高い状態になることが予想されてはいるものの、それが必ずしも猛暑をもたらすことを意味するわけではないようだ。
報告書の執筆者の一人、Florian Sevellec氏はこれについて「我々は酷暑を予測しているわけではない。暖かい年とは必ずしもそのような意味ではない」と説明。
さらにこの理由として、「予報は地球全体の気温を概観したものであり、地域の気温や世界の一部の気温を予測したものではないためだ」としている。
また今回の研究においては、示された予測が必ずしも起こりうるものではない、との説明もされている。
報告書によると、2022年までの地球全体の気温が通常よりも高いものとなる確率は58%ほどとのこと。
さらに海洋温度が通常よりも高いものとなる確率は、約69%だとしている。
地球の気温は一年ごとに変化しながら上昇
人の手が引き起こす地球温暖化は、石炭や石油、ガスといった化石燃料を燃やすことによる二酸化炭素の排出によってもたらされてきたものであることは、周知の事実だ。
しかしながらこのようなことによってもたらされる二酸化炭素の排出が地球温暖化を引き起こす一方で、地球の気温は一定のペースで上昇していくわけではない、とも報告書は伝えている。
地球の気温は一年ごとに変化しながら上昇していくものであり、報告書は“地球温暖化は滑らかで単調なプロセスで起こっていくものではない”としている。
予測には過去のデータを利用
2018年以前にも、2014年から2017年の4年間にかけ、地球の気温は最高気温を更新し続けてきている。
しかし研究者らは、21世紀初頭に地球温暖化は一度失速し、休止状態に入ったかのようであったことを指摘している。
このような相反した状況の中でもより正確に気温の予報を行うため、研究者らは過去の統計的なデータを遡ったという。
そしてそのデータの中で、過去の気温をより効果的に予測することができたものを用いた、としている。
研究には疑問の声も…
一方、この研究については疑問の声も上がっている。
インターネット上で天気予報情報を提供する“Weather.us”の気象学者Ryan Maue氏は、この研究報告にエルニーニョ現象や海洋力学といった物理学が反映されていないことを指摘する。
さらに2016年の酷暑はエルニーニョ現象によってもたらされたものであることを指摘しつつ、こう説明する。
「したがって地球の気温を的確に予測するためには、(エルニーニョ現象のような)実際に地球の気温を変化させているメカニズムを反映させなければならない」
一方、気になるのは2022年以降の気温だ。
これについては、今回の研究においてははっきりと示されていない。
世界的な猛暑となった今年の夏。地球全体の気温が徐々に上昇をみせているのも気がかりではあるが、来年以降どれほどの酷暑が訪れることになるのか不安なところだ。(了)
出典:USA TODAY:The heat is on for 4 more years: Extreme temperatures expected through 2022 (8/14)