ターミネーターの世界が近づく?垂直にも動かせる液体金属を開発【動画】
映画『ターミネーター2』に出てきた液体金属のロボット。それを連想させるような液体金属が作られ、「ACS Applied Materials & Interfaces」において発表された。
ユニークな属性を持つ液体金属
ACSのリリースによれば、その金属はガリウムやその他の合金のように、部屋の気温の中では液体の状態のままだという。
そしてこの液体金属には、高い伝導性や低い融解点、高い変形性も含む、ユニークな属性が含まれているそうだ。
これらの属性は、ソフト・ロボットや柔軟で折り曲げることもできる電子回路などの利用において、魅力的なものになるとしている。
液体に浸さず、垂直にも動かしたい
研究者らは、ニッケルや鉄といった磁性粒子を加えることによって、磁石で操作して形を変えられる液体金属を作ったという。
しかしながら、このような液体金属はたいてい、その強い表面張力により、水平にしか動かせなかったそうだ。
またペースト状になるのを防ぐため、この金属を完全に液体の中に浸さなければならなかったとか。
しかし北京先進イノベーションセンター生体医用工学のLiang Hu氏やJing Liu氏、そして同僚らは、この磁性液体金属を液体の中に完全に浸すことなく、また水平だけでなく垂直にも動かしたいと考えたという。
もとの大きさの約4倍まで伸びる
そのために研究者らは、まず原料を液体に沈める作業から始め、塩酸に浸されたガリウムやインジウム、すず合金の小滴に鉄の粒子を加えた。
この結果、小滴の表面に酸化したガリウムの層が作られ、それにより液体金属の表面張力が低下したそうだ。
そして研究者らは実際に磁石を使って実験を開始。結果、もとの長さの約4倍までこの液体金属を伸ばすことに成功する。
また彼らは液体に浸った2本の電極棒に、磁石を使い液体金属を繋げることによって、LED電球を点けることもできたという。
しかもこの液体金属を磁力で引っ張り、垂直に動かすことも可能で、低い方の塩酸に浸った電極棒と、その液体の外(空間)にある高い方の電極棒とをつなぎ、やはりLED電球の点灯にも成功したそうだ。
これによりこの液体金属が、完全に液体に浸る必要がないことが証明されたとしている。
リリースによればこの技術により、立体空間において磁石により操作できる、新しい液体金属の開発に近づくことになるという。(了)
出典元:ACS:‘Terminator’-like liquid metal moves and stretches in 3D space (video)(3/20)