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新型コロナをターゲットにした新薬の治験を予定:オックスフォード大

新型コロナをターゲットにした新薬の治験を予定:オックスフォード大
NIHR Oxford Biomedical Research Centre

イギリスのオックスフォード大学などが、新型コロナ感染症に有効な治療薬を探るための、新たな抗体治療薬の臨床試験を行うと発表した。

 

新しいモノクローナル抗体の治療薬

 

この発表は9月14日、米バイオ医薬品会社「リジェネロン製薬」とオックスフォード大学が行ったもので、これによりすでに始められている世界最大のランダム化臨床試験「RECOVERYトライアル」の一環として、新しいモノクローナル抗体の臨床試験を行うことになる。

 

この治験では「リジェネロン」の抗体カクテル薬「REGN-COV2」が、新型コロナでの死亡率や入院期間、人工呼吸の必要性にどのような影響があるかを探ることになるという。

 

「REGN-COV2」は、2つのモノクローナル抗体(REGN10933およびREGN10987)で構成されており、COVID-19を引き起こすウイルスであるSARS-CoV-2の感染性をブロックするために「リジェネロン」の科学者によって特別に設計されたものだ。

 

「REGN-COV2」はすでに、COVID-19の治療に関するフェーズ2とフェーズ3の臨床試験に入っており、また感染した個人の家族内接触におけるCOVID-19の予防に関するフェーズ3の臨床試験でも研究されている。そして今回の治験では2000人に投与され、その結果が通常の治療を受けた患者と比較されるそうだ。

 

どのように機能するのか?

 

BBCによれば、そもそも抗体は免疫システムの「戦士」と言え、コロナウイルスが体に感染すると抗体がウイルスのスパイクに付着し、細胞への侵入を阻止するという。

 

また人間は多くの異なるタイプの抗体を製造しており、最も強力なものは中和抗体と呼ばれているそうだ。

 

科学者はそれらを「ふるいにかけて」、スパイクに固着するのに最適なものを見つけ、選択された抗体は研究室で増殖され、大量に生産されていく。

 

これが患者に投与され、すぐに免疫反応を高めることになる。今回の臨床試験では、「リジェネロン」が作成した2つのモノクローナル抗体(中和できる抗体)の混合物をテストする。

 

どちらもわずかに異なる場所でウイルスのスパイクに付着するため、ウイルスが変異して構造が変化しても、少なくとも1つは機能するはずだという。

 

「リジェネロン」は、エボラ出血熱を治療できるモノクローナル抗体をすでに製造しており、同社のバイスプレジデント・リア・リプシッチ氏は、「エボラに対する非常に効果的な結果から、Covid-19と同じくらい効果的なものへと飛躍できることを望んでいる」と語っている。

 

既存薬では依然、死亡率は高いまま

 

この治験の主任研究員であり、オックスフォード大学ナフィールド医学部のPeter Horby教授は、大学のリリースにおいて次のように語っている。

 

「私たちはすでに1つの治療法、デキサメタゾンによる治療法を発見しています。これはCOVID-19の患者にメリットがあります。しかし依然、死亡率は非常に高いままです。このため私たちは他の手段を探り続けなければなりません」

 

「RECOVERYトライアルは、REGN-COV2のような有望な治験薬が利用可能になった時に、それらが素早くテストできるようにするために特別に設計されたものです。私たちはREGN-COV2が大規模でランダムな治験において、安全で効果的かどうかを見るのを楽しみに待っています。これはCOVID-19の治療薬として機能するかどうかを確認する、唯一の方法なのです」(了)

 

出典元:NIHR Oxford Biomedical Research Centre:RECOVERY Trial to test ‘antibody cocktail’(9/14)

出典元:BBC:Coronavirus: Monoclonal antibodies to begin UK trial(9/15)

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