シーラカンスが最大100年まで生き続ける可能性、妊娠期間は5年か
「生きた化石」と呼ばれる魚、シーラカンス。古代から種をつないできたこの魚が、驚くほど長い期間生き続ける可能性が示された。
これまでは生存期間が20年
これまでシーラカンスの個体は、約20年間は生き続けると考えられてきた。
しかし新たな研究により、サメと同じように、最大で100年間生きられる可能性が示されたという。
この研究を行ったのはフランスのモンペリエ大学などの研究者たちで、彼らは年齢とともに、繁殖に関する生態も調べたそうだ。
中年期の後半に繁殖できる
研究者らは、博物館にあるシーラカンスの標本において、木の年輪のような役割を果たす鱗にある痕跡を調査したという。
さらに彼らは調査を進め、シーラカンスが中年期の後半にだけ繁殖でき、妊娠期間が5年間に及ぶ可能性を導き出した。
子供をほとんど生まず、ゆっくりと成長していくシーラカンスは、それゆえに気候変動や乱獲などによる絶滅へのプレッシャーに弱い存在と考えられている。モンペリエ大学のBruno Ernande博士は次のように語っている。
「保護対策における非常に重要な枠組みは、この個体数動態を評価することです。この新しい情報をもとに、私たちはよりよく評価できるようになるでしょう」
1938年に南アフリカ沖で捕獲
シーラカンスは、海底の洞窟に生息し、体長は1.8メートル、体重は90キロ以上。恐竜時代に生息し、長い間絶滅していたと考えられてきたが、1938年に南アフリカの沖合で網にかかったところを捕獲された。
さらにその後、アフリカ東部の沖合でも2匹の個体が確認され、インドネシアのスラウェシ島の沖合でも別な個体が確認されている。
シーラカンスの祖先は、4億2000万年前に進化し、大陸の移動や、恐竜を絶滅させた小惑星の衝突を乗り越えてきたと考えられている。そして現代にまで種が存続してきたことから、「生きた化石」と呼ばれるようになった。
しかし現在、アフリカの個体群は絶滅の危機に瀕しており、数百頭しか残っていない可能性があるという。
深海ザメやリュウグウノツカイに近い
フランスの北海漁業研究ユニットのKélig Mahé氏は次のように語っている。
「シーラカンスの生活史は、深海ザメやリュウグウノツカイに近く、海の魚類の中でも最も遅いものの1つであると考えられます。私たちの今回の結果は、その特異な生活史のために、予想以上に絶滅の危機に瀕している可能性を示唆しています。したがって、シーラカンスの生物学と生活史に関するこれらの新しい情報は、この種の保全と管理に不可欠です」
今後の研究では、シーラカンスの鱗の分析をさらに進めて、成長速度が温度と関係しているかどうかを調べる予定とされている。(了)
出典元:BBC:‘Living fossil’ fish may live for up to a century(6/17)