大気汚染物質により、眠っていた癌細胞が目覚める:英研究
イギリスで、喫煙をしていない人が肺癌になるケースの研究が行われ、大気汚染が原因である可能性が指摘された。
非喫煙者の肺癌に着目
この研究を行ったのは、「Cancer Research UK」のチャールズ・スワントン教授が率いる研究チームだ。
彼らはイギリス、韓国、台湾の40万人以上のデータを調査。特に、EGFR遺伝子の変異によって引き起こされるタイプの肺癌に焦点を当てたという。
このタイプの癌は「上皮成長因子受容体(EGFR)変異型肺癌」として知られ、喫煙経験のない人によく見られるそうだ。
調査の結果、研究者らは小さな大気汚染の粒子が、、癌を引き起こす細胞の成長を助けるメカニズムを解明。
マウスを使った実験でも、PM2.5粒子がEGFR変異を持つ気道細胞の急速な変化を促進することが示されたという。
「大気汚染が細胞を目覚めさせる」
スワントン教授は、次のように述べている。
「私たちの研究は、喫煙経験のない人の肺癌に対する見方を根本的に変えました。癌を引き起こす変異を持つ細胞は、加齢とともに自然に蓄積されますが、通常は不活性な状態です。私たちは、大気汚染が肺のこれらの細胞を目覚めさせ、成長を促し、腫瘍を形成する可能性があることを証明しました。今回明らかになったメカニズムは、喫煙経験のない人の肺癌を予防・治療するための、より良い方法を見つけるのに役立つと思われます。大気汚染に反応して細胞が成長するのを止めることができれば、肺癌のリスクを減らすことができます」
喫煙は依然として肺癌の最大の危険因子だが、イギリスでは毎年6000人近くの喫煙経験のない人が肺癌で死亡していると推定されている。(了)
出典元:Belfast Telegraph:Air pollution ‘wakes up’ dormant cells that cause lung cancer, scientists find(4/6)
参考:nature