米乗務員労組が737MAX8型機の運航中止を要請していた!しかも懸念は事故以前から
エチオピア航空が運行していたボーイング社の737MAX8型機が墜落し、乗客乗員157人全員が死亡した悲惨な事故。
トランプ大統領は13日、同型機の運航停止を命じたが、これ以前に米国の客室乗務員が加入する労働組合が、737MAX8型機の運航中止を要請する動きを見せていた。
米最大の客室乗務員労組が運航中止要請
737MAX8型機の運航中止を要請していたのは、米国の客室乗務員労働組合として知られる「Association of Flight Attendants(AFA-CWA)」と「Association of Professional Flight Attendants(APFA)」。
AFA-CWAには20を超える航空会社で勤務する5万人以上もの客室乗務員が加入しており、米国の客室乗務員労組としては最大規模のものとされる。
両組合は12日声明を発表し、米連邦航空局(FAA)とアメリカン航空のCEOに対し、737MAX8型機の運航中止を要請した。
FAAはエチオピアでの事故発生後も737MAX8型機は運航に必要な要件を満たしているとして、同機の運航中止措置を取らない方針を示していた。
“The Association of Flight Attendants, which represents 50,000 flight attendants at 20 airlines … said it was formally requesting that the FAA investigate the plane.”
Boeing stock down 7% today.https://t.co/HD9ASKVNJK
— David Earl (@DavidEarlLive) March 11, 2019
これに対しAFA-CWAのトップを務めるSara Nelson氏は、“これは空の旅における安全性に対する国民の信頼に関わるものだ”と言及。
米国の航空システムが世界においても非常に安全性の高いものでありながら、この事故への対応で不安が広がっている現状を指摘し、“FAAは国民の航空システムに対する信頼を回復させるため、断固として行動せねばならない”と語った。
またアメリカン航空で勤務する2万5000人以上もの客室乗務員が加入するAPFAも、同様の見解を発表。
APFAでトップを務めるLori Bassani氏は、“世界において評価の高い多くの航空会社が同型機の運航中止を行っている”と指摘した上で、“我々はアメリカン航空のCEO、Doug Parker氏に対して(事故の)詳細な調査が終了するまで、同型機の運航中止を前向きに検討するよう要請している”とコメントした。
世界でも運航中止の動きが広がる
ボーイング社の737MAX8型機は、昨年10月にもインドネシア沖で墜落。189人の犠牲を出すという大規模事故を起こしたばかり。
それから半年も経たぬ間に起こった今回の事故を受け、世界では同型機の運航を中止する動きが広がっている。
事故機を運航していた航空会社の拠点であるエチオピアとインドネシア以外でも、中国、シンガポール、オーストラリア、マレーシア、オマーン、インドでは同型機の運航を中止。
ヨーロッパでも欧州航空安全局が737MAX8型機と、同シリーズの737MAX9型機の欧州全域での運航中止を発表。
各国の航空会社レベルにおいても、事故機と同型機の運航中止の動きは広がっている。
As #mahigahomes family, we want to express our deepest condolences to the families of the 157 people on board the Ethiopian Airlines Boeing 737 MAX 8, that went off the radar, 6 minutes after take off. Our prayers are with you all. pic.twitter.com/8B03GbamKR
— Mahiga Homes (@mahigahomes) March 10, 2019
そんな中において、いずれも米国の航空会社であるアメリカン航空とサウスウエスト航空は、メジャーな航空会社としては世界でも唯一737MAX8型機の運航を継続させる予定としていた。
アメリカン航空は当時、声明において事故の調査を注意深く見守るとした上で、“我々は737MAX8型機と、航空産業界において最も優れた最も経験を有する我々の搭乗員に、確固とした自信を持っている”と語った。
サウスウエスト航空も、事故の犠牲者の家族らに対する哀悼の意を表明した上で、アメリカン航空と同様に737MAX8型機の安全性を強調するコメントを行ったという。
事故以前からパイロットが同機に対する懸念
一方、737MAX8型機を操縦した経験を持つ航空会社のパイロットの間からは、エチオピアでの事故発生前から同型機に対する懸念の声が聞かれていたことも明らかとなっている。
米国における調査においては、事故発生前の数カ月の間にパイロットから少なくとも5回737MAX8型機に対する苦情が寄せられていたことが判明。
737MAX8型機の自動操縦システムには機首を自動的に下げる新機能が備わっているが、同型機に対する苦情を寄せたパイロットのうち一人は、このマニュアルについて“不適切であり、ほとんど犯罪的と言ってよいほど不十分だ”と糾弾した。
インドネシアのライオン航空における事故においては、パイロットがこの機能を制御できずに事故に至ったとの見方が持たれている。
Boeing 737 Max 8 it is less than 5 month old, had just been delivered to Ethiopia. The same model of Boeng 737 8 max, of Lion Air Indonesia crashed when it was still brand new! Late last year 🤔 @Boeing @BoeingAirplanes don’t we need an explanation!! #EthiopianAirlineCrash pic.twitter.com/xuJjRj1H92
— Haleem (@Haleemkas) March 10, 2019
乗客乗員157人が犠牲になった今回の事故。事故の早急な原因究明が求められると共に、調査結果が明らかになるまでは事故機の同型機への搭乗は控えたいところだ。(了)
出典:Fox News:Flight attendants’ unions urge US carriers to ground Boeing 737 Max 8 aircrafts(3/12)
出典:Fox News:Some Boeing 737 Max 8 pilots voiced safety concerns before deadly crash, report Shows(3/12)
出典:RTE.ie:Boeing 737 MAX planes banned from Irish and EU airspace (3/12)
出典:時事通信:欧州も全域で運航停止(3/13)