フロリダ州の市長、映画『No Other Land』の上映中止を要求

アメリカ・フロリダ州の市長が、先日アカデミー賞で、最優秀長編ドキュメンタリー賞を受賞した映画を上映したとして、ある映画館に立ち退きを求めた。
「偽りのプロパガンダ攻撃」
マイアミビーチ市のスティーブン・マイナー市長は、ヨルダン川西岸地区のパレスチナ人避難民らを描いた映画『No Other Land』を、「ユダヤ人に対する一方的な偽りのプロパガンダ攻撃であり、市と住民の価値観にそぐわない」と非難したという。
そしてこの映画を上映した独立系映画館「Oシネマ」との賃貸契約を解除し、市の土地から追い出そうとしているそうだ。また約束されていた助成金、4万ドルも撤回したという。
アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した映画『No Other Land』は、占領下のヨルダン川西岸地区のパレスチナ人活動家であるバセル・アドラ氏と、この映画の共同監督を務めたイスラエル人ジャーナリストのユヴァル・アブラハム氏との友情を描き、この地でのイスラエル軍などによる破壊を描写している。
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『#ノー・アザー・ランド故郷は他にない』
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「すべての声に耳を傾ける価値がある」
マイナー市長は以前、イスラエルとドイツの当局者からの批判を理由に、「Oシネマ」に対し、予定されていた『No Other Land』の上映を中止するよう要請していたという。
その後、市長は「Oシネマ」のCEOである、ビビアン・マーセル氏が「反ユダヤ主義的言説への懸念」を理由に、映画を上映中止することに同意したと市民に通知していた。
しかし通知の翌日、マイナー市長はマーセル氏が上映中止の決定を、撤回させたと明らかにした。
「Oシネマ」のマーセル氏は「マイアミ・ヘラルド」紙に対し、次のように述べている。
「『NO OTHER LAND』を上映するという私たちの決定は、政治的な立場を表明するものではありません。しかし、すべての声に耳を傾ける価値があるという、私たちの基本的な信念を再確認するものです」
最近の「ギャラップ」の世論調査によると、アメリカでのイスラエルへの支持は25年ぶりの低水準に急落し、パレスチナへの同情は急上昇しているという。
またフロリダ州のアメリカ自由人権協会も、「Oシネマ」に対する市長の報復は、憲法違反であると主張している。(了)
出典元:The Guardian:Florida mayor seeks to evict cinema for showing Oscar-winning No Other Land(3/13)