南極基地で暴行事件が発生、科学者らが救出を要請

南極にある南アフリカの基地で、暴行事件があり、チームのメンバーが不安を訴えたという。
南ア政府も「暴行」があったと認める
その南極基地とは、棚氷の端から約170キロ離れた「Sanae IV」基地とされている。
ここでは1959 年から南アフリカのチームにより研究が行われていたが、先日基地内で暴行事件があったそうだ。
3月16日、南アフリカの「サンデータイムズ」紙は、チームメンバーの1人が電子メールを送り、同僚の「非常に嫌悪感を抱かせる行動」と「恐怖の環境」について警告したと報じた。
また南アフリカ政府の報道官も、基地内で「暴行があった」と認めており、「サンデータイムズ」紙は、チームのメンバーが「救出を懇願」したと伝えている。
作業をめぐる争いがきっかけ
まだ詳細については明らかにされていないが、南アフリカ政府の報道官によれば、この暴行事件は、「リーダーが、チームにやらせたいと思っていた作業をめぐる争い」がきっかけだったという。
その作業は、天候に左右され、予定の変更を必要とするものだったそうだ。
南アフリカ環境省は、「最大限の緊急性」を持って、この懸念に対応していると述べた。
出発前の心理評価もクリア
「Sanae IV」基地では通常約10人の研究者が滞在しており、その構成は医師1名、整備士2名、エンジニア3名、気象技術者1名、内科医2名となっている。
科学者たちは 1 年の大部分を基地で過ごすことになり、現在のチームも、今年の12月までこの基地に滞在する予定だったという。
ただ厳しい気象条件により、屋内の限られた空間で長時間過ごすことになるため、チーム メンバーは出発前にさまざまな心理評価を受けるそうだ。
南アフリカの環境省は、チームのメンバーが「経歴調査、身元照会、医療評価、資格のある専門家による心理測定評価など、いくつかの評価を受けており、全員がクリアしていた」と述べている。
南極での事件は稀だが、前例がないわけではない。2018年には、ロシアが運営するベリングスハウゼン研究基地で刺傷事件が起きたとの報告があったという。(了)
出典元:BBC:Scientists at Antarctic base rocked by alleged assault(3/17)