「女性には自信がなかった」007シリーズのロジャー・ムーアさんの意外な素顔とは?
映画『007』シリーズでジェームズ・ボンドを演じたイギリス人俳優の、ロジャー・ムーアさんが5月23日に癌のため亡くなった。89歳だった。
●007シリーズ7作に主演
ロジャー・ムーアさんは1927年10月14日にロンドンで生まれ、警察官の父と主婦をしていた母に1人息子として育てられたという。
1954年に映画『雨の朝巴里に死す』に出演しMGMの契約俳優に。さらにテレビドラマの『アイバンホー』や『セイント/天国野郎』にも出演している。
そして1973年に映画『007死ぬのは奴らだ』で主演。圧倒的な存在感を誇ったショーン・コネリーさんの役を引き継ぎ、3代目ジェームズ・ボンドに抜擢された。
以来、『私を愛したスパイ』や『ムーンレイカー』『ユア・アイズ・オンリー』など7作に出演し、「シリーズ化の礎を築いた」という評価まで受けてきた。
1973年 007死ぬのは奴らだ
74年 007黄金銃を持つ男
77年 007私を愛したスパイ
79年 007ムーンレイカー
81年 007ユア・アイズ・オンリー
83年 007オクトパシー
85年 007美しき獲物たち
●10代の頃は自分に自信がなかった
ジェームズ・ボンドといえば「女性を誘惑するのが上手な自信家」というキャラクターだが、実際のムーアさんはそんなイメージとは異なっていたようだ。
英紙Telegraphでの過去のインタビューでは「色男」という役柄へのプレッシャーについて聞かれ、少し笑った後に次のように答えたという。
「私はそれについて本当に全く考えたことはありませんでした。10代の頃、私は自分に対し、非常に自信がありませんでした。だから私はロジャー・ムーアを作り上げたのです。私はたぶんシャイな人間です。何故シャイな人とそうでない人がいるのかわかりませんが、ある人は簡単に赤面してしまいますよね」
また女性に対しても恥ずかしがり屋だったのかと聞かれ、次のようにコメントしている。
「私は女性に対しても全く自信がありませんでした。たぶん私が子供の頃に少し太っていたからでしょう。私はトーストにのせたベイクド・ビーンズ(インゲン豆のトマトソース煮)や、ミルクチョコレートが大好きだったんです」
「そのため外出する時、父親からちょっときつめのレインコートのベルトを引き抜かれて、『お前はポテトの入ったひどい袋のようだな』と言われ、きつくベルトを締められました。真ん中あたりで醜いまでにね。恐らく自信のなさはそこから来ているのでしょう」
さらに007では数多くの敵と戦ってきたが、実際の喧嘩の経験について尋ねられると「いや、いや、喧嘩なんてしません。私は少し臆病なんです。タフに見えるだけかもしれないですね」と語っている。
●ユニセフの親善大使に任命される
ムーアさんは1991年に国連児童基金(ユニセフ)の親善大使に任命され、26年間も休まずに恵まれない子供たちのために活動し、熱心に働き続けたという。
こうした活動が認められ、2003年にはエリザベス女王からナイトの爵位が授与される。
自分とは異なるキャラクターのジェームズ・ボンド。ムーアさんは役者として、見事に演じきっていたと言えるのかもしれない。ご冥福をお祈りしたい。(了)
出展元:The Telegraph:Roger Moore interview: ‘I was never very confident with girls’(5/23)