トロント市180のビルが、オンタリオ湖の水を壁に通す冷房システムを導入
湖の深部から汲み上げた冷水を、壁や床に通して冷房にする——こんなエコなやり方をしている建物が、カナダ・トロント市には180もあるそうだ。
その中には、市役所やトロント総合病院、著名ホテル、企業のデータセンターといった巨大なビルや、カナダ最大の屋内競技場「スコシアバンク・アリーナ」まで含まれているというから驚き。
各物件の面積を合計すると約5400万平方フィート(約500万平方メートル)。これらの建物では冷房にエアコンを使わないので、年間平均9万MWh(メガワット時)の電力が節約できるという。この電力量は、カナダの一般住宅2万5000戸が消費する電力とほぼ同じだそう。
オンタリオ湖の冷水を利用
「Deep Lake Water Cooling (ディープ・レイクウォーター・クーリング/DLWC)」と呼ばれるこの冷房システムは、Enwaveというカナダの会社が開発したもの。
トロント市に隣接するオンタリオ湖の水深280フィート(約85m)から、4℃の水を汲み上げ、3本の太いパイプで市中に運ぶようになっている。パイプはメインの施設で分岐し、それぞれの建物に繋がっている。建物を冷却し終えて温まった水は、また湖に戻されるという仕組みだ。
今後も多くのビルがこの方式を導入
この冷房システムの導入は、何年も前から徐々に進められて来たものらしい。最初は1億7000万カナダドル(約150億円)規模のプロジェクトとしてスタートしたが、なかなか普及しなかったと報じられている。
だが、いち早く導入した「スコシアバンク・アリーナ」が年平均で300万KWh(キロワット時)も節電できたことがきっかけとなり、市中の他のビルも続々と導入し始めたそう。
今では導入を希望するビルが増え過ぎたため、近いうちにプロジェクトに1億カナダドル(約88億円)が追加される予定らしい。エアコンなしで涼しいビルが、トロント市でこれからも増えていくことになる。(了)
出典元:Good News Network:Toronto is Replacing Air Conditioners With Deep Lake Water to Cool Hundreds of Buildings(11/26)
出典元:enwave
出典元:E.S.FOX LTD. CONSTRUCTORS:Enwave Deep Lake Water Cooling