マリウポリの製鉄所への降伏期限が過ぎるも、ウクライナ軍は投降せず
ウクライナ南東部にあるマリウポリのアゾフスタル製鉄所に潜んでいるウクライナ軍部隊に対し、ロシア軍から降伏勧告が出されていたが、その期限が過ぎた。
期限を過ぎても人は現れず
ロシア軍は4月19日22時(モスクワ時間)までに、アゾフスタル製鉄所に潜んでいるウクライナ軍部隊に対し、「武器を置いて、降伏するよう」呼びかけていた。
その際、ロシア国防省は市民を避難させると同様に、ウクライナ軍や武装勢力を撤退させるため、この製鉄所から人道回廊を設置したとも明らかにした。
しかし降伏の期限を過ぎても、製鉄所から避難する人々や、降伏したウクライナ兵の姿は現れなかったという。
このためロシア軍は4月20日午後2時(モスクワ時間)まで、ウクライナ側に「戦闘を停止し、武器を置く」という選択肢を「もう一度」提供すると述べたそうだ。
55th day of war. 🇷🇺 continues to shell Azovstal with powerful anti-bunker bombs. The world watches the murder of children online and remains silent. Religious & world leaders can stop it by organizing humanitarian corridors. Otherwise, the blood will be on their hands, too. pic.twitter.com/b9UaGR6VSB
— Михайло Подоляк (@Podolyak_M) April 19, 2022
司令官が「最後の日に直面している」
一方、マリウポリの製鉄所を死守しているウクライナ海兵隊の司令官、第36別働隊のセルヒイ・ヴォリナ氏は20日早朝、フェイスブックにビデオメッセージを投稿。現在、「最後の日」に直面しているとし、次のように述べた。
「数時間ではなく、最後の日に直面しているかもしれない。敵は10対1で我々を圧倒している。私たちが守っているのはアゾフスタル工場だけだ。そこには軍人のほかに、この戦争の犠牲となった民間人もいる」
またヴォリナ氏によれば、ロシア軍は空でも、大砲でも、陸でも、装備でも、戦車でも優位に立っているという。
そして彼は「私たちは世界の指導者たちに、私たちを助けてくれるよう訴え、懇願しています。我々は、抜け出せる手続きを使用し、第三国の領土に私たちを連れて行くように求めています」と述べた。
市民だけでも避難させられないのか?
市民だけでもアゾフスタル製鉄所から避難させられないか、とも思うが、実はこれまで幾度となく、マリウポリから市民を避難させる人道回廊が設置されてきたが、合意しているにもかかわらず、ロシア軍は直前になって住民の避難を許可しなかったり、攻撃を繰り返したりしてきた。
また降伏したとしても、住民がロシア領に連れていかれ、収容所に入れられ、遠隔地へ送還されることも考えられる。
マリウポリのセルゲイ・オルロフ副市長も、イギリスのメディア「Sky News」に出演し「ロシアの言葉を信じてはいけない。市民がアゾフスタルから出ることを許可すれば良いのだが、50日間許可しなかったのに、なぜ今許可しているのか?」と疑問を呈している。(了)
出典元:The Guardian:Russia-Ukraine war latest: Russia’s deadline for Mariupol surrender passes; more than 5 million have fled Ukraine, UN says – live(4/20)