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天安門事件の市民の犠牲者は1万人か?英大使が本国へ送った機密文書が公開される

天安門事件の市民の犠牲者は1万人か?英大使が本国へ送った機密文書が公開される
flickr_David Erickson

先月、中国で起きた天安門事件での市民の犠牲者が1万人に及ぶと書かれた、イギリスの機密文書が公開された。

 

中国政府は犠牲者が200人と発表

 

1989年、中国北京にある天安門広場では民主化を求める学生らが集まり、一党独裁を続ける中国共産党に対する抗議集会が連日行われていた。

 

しかし6月4日に中国政府は人民解放軍を出動させ、抗議集会を強引に鎮圧。軍が無差別に発砲し、多くの学生らが装甲車などでひき殺されていく姿が世界中に流された。

 

その後6月の末には、中国政府は天安門事件での市民の犠牲者は200人になると発表。さらに数十人の公安関係者が死亡したと報告している。

 

「1万人が軍に弾圧され、殺害された」

 

しかし事件から28年がたった今年、イギリスの外交機密文書が10月に公開され、軍による弾圧で殺された学生や市民の数が、はるかに多かったという内容が明らかにされた。

 

その文書は当時の中国大使だったアラン・ドナルド氏が6月5日にイギリス本国へ送った電報で、現在は国立公文書館に所蔵されているそうだ。

 

情報は中国の最高行政機関である国務院のメンバーで、ドナルド氏の友人である人物からもたらされたと言われている。

 

その情報を元にしてドナルド氏が本国へ送った電報には、「民主化を求める学生など、少なくとも1万人が軍に弾圧され、殺害された」と書かれていたという。

 

ドナルド氏は取材に対し「情報源は当時としては信頼できるものでした。噂や憶測などと事実を区別するために、注意深く伝えられたものだった」と語っている。

flickr_shankar s.

退去勧告時間前に軍が攻撃を開始

 

またドナルド氏は、その電報において、天安門事件での生々しい様子も書いている。

 

「学生たちは広場を離れるまでに、1時間の猶予が与えられていることは理解していました。しかしその5分後にAPC(装甲車)は攻撃を開始した」

 

「学生たちは軍とつながりを持っていたが、兵士もろとも(装甲車などによって)ひき殺された。APCはパイを作るために、何度も何度も死体を轢き、遺体はブルドーザーで回収された。遺体は火葬され、その後ホースで排水管に流された」

 

「4人の傷を負った女学生が命乞いをしたが、彼女たちはその後銃剣で突き殺された。国務院の何人かのメンバーは、内戦が近づいていると認識していた」

 

犠牲者の数はさまざまな見方が

 

この事件における犠牲者の数は、以前から異なった見解が示されてきた。先日報じられたイギリスの研究機関からの報告によれば、犠牲者は1000人から3000人になるという。

 

また最近、公開されたアメリカの機密文書では、今回の大使の電報と同じく、犠牲者は約1万454人に達したと記されているそうだ。

 

まだ正確な人数は確定できないようだが、少なくとも自由を求めた若い多くの命が無慈悲に奪われたことだけは間違いない。(了)

 

出典元:BBC:Tiananmen Square protest death toll ‘was 10,000’(12/23)

出典元:INDEPNDENT:At least 10,000 people died in Tiananmen Square massacre, secret British cable from the time alleged(12/24)

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