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中国の共産党大会で異例の光景、胡錦涛前主席が強制的に退席させられる

中国の共産党大会で異例の光景、胡錦涛前主席が強制的に退席させられる
Twitter/The New York Times

10月22日に中国の北京で開かれた共産党大会の閉幕式で、異例な光景が目撃された。

 

係官と揉め、退席を拒む

 

共産党大会の閉幕式では、党規約改正案などが採決されようとしていたが、その際、胡錦涛前主席(79)が強制的に退席させられたという。

 

公開された動画では、胡錦涛氏は習近平主席の隣に座っていたが、やがてそこへ係官が現れ、何やら促した。

 

その後、胡錦涛氏は席を立ったが、しばらく係官と揉め、その場から動こうとはしなかった。

 

また胡錦涛氏は隣にいた習近平主席にも何かを訴えるように話し掛けたが、結局諦め係官に連れられて人民会堂からの退場を余儀なくされた。

 

立ち去る際、胡錦涛氏は李克強首相の肩に手を置いた。

 

高度にシナリオ化されている大会

 

この動画はSNSでも拡散されているが、さまざまな憶測を呼んでいる。

 

中国国営通信の新華社は、胡錦濤氏が体調不良のため会議場から退出したと報じているが、動画を見る限り、胡錦涛氏は拒否しており、強制的に退席させられているように見える。

 

ただBBCによれば、大会初日、胡錦濤氏は関係者の助けを借りて歩くことしかできず、かなり弱っているように見えたという。

 

また動画でも、胡錦濤氏が立ち上がった後、彼は誤って習近平氏のメモに手を伸ばしてしまったそうだ。この時、習近平は混乱しているように見えたが、その後胡錦濤氏の手をどけて、メモを取り戻したという。

 

ただ共産党大会は通常、高度にシナリオ化されているため、胡錦濤氏の退席のタイミングは偶然ではなかったのではないかとの憶測を呼んでいる。

 

集団指導体制を築いた胡錦涛氏

 

BBCの解説によれば、2003年から2013年まで国家主席を務めた胡錦濤氏は、より集団的な指導体制をとり、彼の時代は外部世界に対して開放的で、新しい考え方に寛容な時代と見なされていたという。

 

実際に外資系企業の進出、観光客の流入、インターネットの自由化、地元メディアのまともなジャーナリズム、中国の世界的な評価の向上など、中国の国際化は絶え間なく進んでいったそうだ。

 

しかし習近平氏は、胡錦涛氏とは全く異なる中国のモデルを示し、自らを「核」とし、異議を唱えることができない体制に導いたという。

 

そして今回の共産党大会でも、経済的、社会的、政治的に自分とは異なる道を歩むべきと考える人々を一掃し、205人で構成される中央委員会を刷新したという。

 

また新しい政治局常務委員会も習近平氏の忠実な支持者で固められ、李克強氏や汪洋氏のような経済リベラル派や胡錦涛政権とつながりのある人物が外された。

 

このことは、胡錦濤時代の改革開放とは全く異なる軌道が、継続することを示唆しているという。(了)

 

出典元:BBC:Hu Jintao: The mysterious exit of China’s former leader from party congress(10/22)

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